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老犬・老猫に見られる変化とは?|シニア期の症状と家庭でできるケアのポイント

私たち人間が年齢を重ねると、体や心にさまざまな変化が表れるように、犬や猫もシニア期を迎えると、少しずつ体調や行動に違いが出てくるようになります。
老犬・老猫と暮らしている飼い主様の中には、「最近、なんだか様子が違うかも」と感じたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

けれども、年齢を重ねたからといって、日々の暮らしの質、いわゆる「QOL(Quality of Life)」をあきらめる必要はありません。
愛犬や愛猫ができるだけ健やかに、そして穏やかに毎日を過ごすためには、ご家庭での小さな気づきと日々のケアがとても大切になってきます。

今回は、老犬や老猫の飼い主様に向けて、シニア期に現やすい症状や変化について解説しながら、日常生活の中でできるケアについてもご紹介します。

犬や猫の「シニア期」とは?

犬や猫が「シニア期」と呼ばれる年齢については、品種や体の大きさ、そして個体差によって多少の違いがありますが、一般的には7歳ごろからシニアと考えてよいでしょう。
ただし、明確な線引きができるわけではなく、年齢を重ねるにつれて体の内側で少しずつ変化が始まっています。

例えば、見た目や普段の様子は元気そうに見えても、体の中には病気の初期サインが潜んでいたり、体の機能を維持する力がゆるやかに衰えてきたりしています。
そのため、これまでと同じようなケアだけでは足りなくなることもあります。

だからこそ、愛犬や愛猫がシニア期に入ったら、日々の暮らしの中でちょっとした変化にも気づいてあげられるような、新しい視点でのケアが大切になってきます。

 

老犬・老猫に見られやすい変化と症状

シニア期を迎えると、少しずつ行動や体調に変化が表れることがあります。
特に次のようなサインが見られやすくなりますので、日々の暮らしの中で注意深く見守っていきましょう。

行動面の変化
・寝ている時間が増える
・動きがゆっくりになる
・お散歩に行きたがらなくなる
・段差や傾斜を避けるようになる

 

身体面の変化
・食欲にムラが出る
・体重が増えたり減ったりする
・被毛にツヤがなくなる、パサつきやうねりが目立つ

 

感覚の変化
・呼びかけに反応しにくくなる
・壁や家具にぶつかることが増える

 

認知機能の変化
・夜鳴きが多くなる
・同じ場所をぐるぐると歩き回る(徘徊)
・トイレの失敗が増える
・今までと性格が変わったように感じる

このような加齢に伴う変化は、ある日突然現れるというよりは、少しずつ進行していくことが多いものです。そのため、飼い主様が愛犬・愛猫の「普通」を理解し、「少し変わったかも」と感じ取ることが重要です。また、加齢だけでなく病気が関係している可能性も考えられますので、変化に気づいたら動物病院で相談することが大切です。

▶️ 犬と猫の老化のサインについてはこちらで解説しています

 

シニア期に大切な日常のケア

愛犬・愛猫がシニア期に入っても、できるだけ元気に、穏やかに毎日を過ごしてもらうためには、日常のちょっとしたケアがとても大切です。
ここでは、ご家庭で意識したいポイントをいくつかご紹介します。

食事の見直し
食欲の変化がなくても高齢になると代謝が落ちるため、必要なカロリーは減少します。
さらに、消化機能が少しずつ衰えることで、固いフードをうまく消化できなくなることもあります。
そのため、シニア期に入ったら消化吸収の良いフードや、内臓に負担をかけにくく、満足感も得やすいフードへ見直すことが大切です。
体重の増減をチェックしながら、愛犬や愛猫に合った食事で健康的な体を保っていきましょう。

 

運動と生活環境の工夫
年齢を重ねても、運動は心身の健康を維持するうえで欠かせません。
ただし、関節のこわばりや痛み、筋力の低下などが見られるようになると、若い頃と同じような運動が難しくなることもあります。
愛犬・愛猫の体調や様子を見ながら、ちょうどよい運動量を保つようにしましょう。

また室内では、滑りにくいマットやカーペットを敷く、段差にスロープをつける、階段には転倒防止のゲートを設置するなど、足腰にやさしい工夫をしてあげると安心です。

 

飼い主様による「ふれあいチェック」
日ごろのスキンシップの時間を活用して、体の状態をやさしくチェックする「ふれあいチェック」もおすすめです。
これは、飼い主様が愛犬・愛猫の体をやさしく触れて観察することで、ちょっとした異変や体調の変化に気づくきっかけになります。
特に、口まわりや耳、手足、わき、お腹、陰部などは変化が現れやすい部分です。いつもと違うしこり、におい、ベタつき、赤みなどがないか、こまめに確認してみてください。

 

ここまでご家庭でできるケアをご紹介してきましたが、あわせて定期的に動物病院を受診し、健康診断を受けることもとても大切です。
検査を通して、ご家庭では気づきにくい初期の病気や内臓の異常を早めに見つけることができます。
愛犬・愛猫の毎日を守るために、「おうちでのケア」と「獣医師によるチェック」の両方を取り入れていきましょう。

 

よくある飼い主様からのご相談

シニア期を迎えた犬や猫と暮らす飼い主様から、よく寄せられるご質問をご紹介します。

Q.足がふらつくのは、関節が悪いのでしょうか?
A.たしかに、高齢になると関節に不調が出やすくなり、足取りが不安定になることがありますが、ふらつきの原因は関節だけとは限りません。
脳や脊髄といった神経の異常、あるいは心臓・腎臓・肝臓などの内臓疾患が関係している可能性も考えられます。
症状だけで原因を判断するのは難しいため、気になる場合はできるだけ早めに動物病院を受診されることをおすすめします。

 

Q.夜中に鳴いて眠れません
A.夜鳴きは、シニア期に見られる「認知機能不全症候群(いわゆる認知症)」の代表的な症状のひとつです。
この病気は完治が難しいとされていますが、適切な投薬やサプリメントの使用により、症状の進行を遅らせたり、夜間の落ち着きを保ったりすることができます

当院では認知機能の健康維持に利用可能なサプリメントとしてトライザ、アンチノールプラスをおすすめしています。

▶️ トライザについてはこちら
▶️ アンチノールプラスについてはこちら

まずは、現在の状況を詳しくお聞かせいただいたうえで、愛犬や愛猫に合ったサポート方法を一緒に考えていきましょう。
お困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

▶️ 夜鳴きについてはこちらで解説しています

 

Q. 最近、ごはんを残すことが増えてきました
A.シニア期に入ると、代謝や消化機能の変化によって、食欲にムラが出ることがあります。
ただし、口腔内の痛みや内臓の不調など、何らかの病気が影響している可能性も否定できません。

フードの種類や形状を変えても食べる量が戻らない場合や、体重が減ってきているようであれば、早めに動物病院で診察を受けることをおすすめします。
食事の様子は健康の大切なバロメーターですので、ちょっとした変化も見逃さないようにしましょう。

▶️ ごはんを食べないときの対処法についてはこちらで解説しています

 

まとめ|“年だから”で終わらせず、寄り添い続けるために

犬や猫がシニア期を迎え、行動や体調にさまざまな変化が見られるようになるのは、自然なことです。
大切なのは、年齢を重ねても、愛犬や愛猫が安心して穏やかに過ごせるように、飼い主様が温かく見守り、日々のケアを続けていくことです。
たとえ小さな変化でも、「なんとなく気になる」と感じた段階でご相談いただくことが、より適切なサポートや早めの対応につながります。
もし気になることがありましたら、どうぞ遠慮なくご相談ください。

 

 

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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。