犬・猫の「避妊手術」について
犬や猫では、望まない妊娠やいくつかの病気・問題行動の発生を防ぐため、メスでは避妊手術を行います。
今回は避妊手術について、当院での取り組みや手術の詳細などをお伝えします。
メリットとデメリットを見比べて、ご家庭の犬・猫との生活をよりよくするためにも、避妊手術の実施を検討してみてください。
目次
手術の内容
避妊手術とは、卵巣を摘出する手術です。
その術式には卵巣摘出術と子宮卵巣摘出術がありますが、当院では子宮も一緒に摘出する子宮卵巣摘出術を採用しています。
避妊手術を行う時期に関しては、当院では生後6~12カ月での実施を推奨しています。(時期に関しては様々な意見があります)
メリット・デメリット
メリット
①性ホルモンに関連する病気を予防できます
発情期に盛んに分泌される性ホルモンは、特定の病気につながることもあり、避妊手術によって低減させることができます。
・子宮蓄膿症、ホルモンの病気(内分泌疾患:糖尿病など)、腫瘍(卵巣、乳腺、子宮など)といった病気の発生を予防できます。
特にメスでは乳腺腫瘍の予防に効果的です。
犬では2回目の発情前に手術を行うと、その発症リスクは92%減少し、猫では1歳になる前に手術を行うと、86%減少するとも報告されています。
避妊は早い時期に行うほど、乳腺腫瘍の効果が高くなります。
※ROIYAL CANIN 避妊・去勢手術より引用
②発情期の問題行動を抑えることができます
発情期に交配できないストレスの低減や、不安定になりがちな精神の安定を得ることができます。
犬では一部の不安行動、怒りっぽく噛みつきやすくなる、生理の出血によるストレスが増す、偽妊娠(妊娠していないのに、乳腺が張るなど体が妊娠したような状態になること)を起こすことがある、
猫では発情期の鳴き声、一部の不安行動、怒りっぽく噛みつきやすくなるといった問題行動の改善が期待されます。
ただし、犬では学習による要素も大きいので、一度覚えてしまうと避妊しても改善されない場合もあります。
デメリット
・卵巣という臓器が取り除かれることで代謝率が低下するため、術後の肥満は一般的です。
さらに、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの分泌量が減ることで、食欲が増すことが知られています。
しかし、一日の必要カロリーが約30%減少するといわれていますが、必要に応じて食事の量を手術前から減らすなど、適切な食事計画でコントロールできますのでご安心ください。
・また、非常に低い確率ですが、手術と麻酔に伴った合併症(出血、呼吸困難、血圧低下など)が発生する可能性があります。
さらに、手術により尿道括約筋という筋肉の機能が衰えて、尿失禁が発生することもあります。
手術の流れ
前日の夜まではご飯をあげても問題ありませんが、当日は絶食した状態で午前中にご来院ください(少量のお水は与えても大丈夫です)。
また、お預かりする際は緊急連絡先と絶食の有無を確認いたします。
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術前検査(血液検査、レントゲン)を行い、異常がなければ手術に移ります。
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手術
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問題なく手術を終えた場合は、当日の夕方から夜にはご帰宅できます。
当日の夜はお水だけを与え、翌朝から食事を与えるようにしてください。
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10~14日後に再度ご来院いただき、抜糸をして治療は終了です。
術後のトラブル
術後に、「術後服」の着用やエリザベスカラーを付けてお返しします。
傷口が汚れてしまったり、気にして舐めてしまう場合はお早めにご相談ください。
下痢や嘔吐、食欲不振といった異常が現れた場合は、術後のストレスや抗菌剤の副作用などが考えられますので、一度当院にご連絡ください。
その他にも、痛がる、元気がない、出血があるといった問題があれば、獣医師までご相談ください。
豊田市で動物病院をお探しの方はダイゴペットクリニックへお越しください。(岡崎市、日進市、名古屋市名東区にも分院があります。)
また、ダイゴペットクリニックでは1月~3月12日まで冬の健康診断キャンペーンの実施をしています。
ご予約受付中ですので、ご希望の方はご連絡ください。
(豊田中央医療センターと岡崎大和院では平日のみの実施、日進オハナ院と名古屋名東院では平日と土日祝で実施しています。)
※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。