CLINICAL DEPARTMENT

診療科別

DAIGO PET CLINIC

犬・猫の「ゼエゼエ」「ピーピー」は大丈夫?呼吸音で気づきたい病気の兆し

「最近、愛犬がゼエゼエと苦しそうに息をしている……」
「今まで気づかなかったけど、寝ているときにピーピー、ヒューヒューと音がする……」
そんな様子を見て不安になり、来院される飼い主様は非常に多いです。

犬や猫の体調変化は、食欲や元気、うんちの状態といった分かりやすいサインだけでなく、呼吸の音や仕方として現れることがあります。
異常な呼吸音が出る、呼吸が荒くなる、苦しそうに見える……こうした変化には、必ず理由があります。

今回は、犬や猫の呼吸音から考えられる状態や「いつもと違う」に気づくためのポイント、受診の目安について、獣医師の視点から分かりやすく解説していきます。

犬・猫の呼吸は本来どんな状態が正常?

犬と猫の「正常な呼吸」とはどのようなものでしょうか?
本来、健康な犬や猫の呼吸は非常に静かで、目立たないのが大きな特徴です。

一般的に、安静時は以下のような様子が見られます。

・音がしない
・胸やお腹の動きが穏やか
・一定のリズムで呼吸している

犬の場合、体格や犬種によって呼吸の深さや速さに多少の差はあります。
たとえば、短頭種では呼吸の際に多少なりとも音が出やすい傾向もありますが、それでも日常的に「ゼエゼエ」や「ガーガー」と聞こえる状態は正常とは言えません。

一方、猫は呼吸音が非常に静かで、異常があっても分かりにくい動物です。そのため、音が聞こえる時点で、すでに注意が必要なケースもあります。

これまで気にならなかったのに、最近呼吸の音が気になる
この“違和感”こそが、早期発見の大きなヒントになります。

 

呼吸様式の異常|「ゼエゼエ」「ハァハァ」するときに考えられること

口を開けて「ハァハァ」と荒い呼吸をしていたり、明らかに息が速くなっている場合、飼い主様は「息苦しいのかな?」と不安を感じるかもしれませんね。

生理的な息切れとしては以下の要因が挙げられます。

・暑さ
・興奮
・激しい運動の直後

これらの場合、しばらく安静にすると呼吸は自然に落ち着くのが一般的です。

荒い呼吸が長時間続くなど、呼吸が気になる場合、音だけではなく「どのように呼吸をしているか(様式)」に着目してみてください。

吸うときがつらそう(吸気が長い/鼻翼がピクピクするなど):鼻〜のど周りのトラブルが関係することがあります。
吐くときがつらそう(呼気が長い/お腹を強く使う):気管支など体の奥側のトラブルが関係することがあります。
胸の動きが小さく、呼吸が浅く速い:肺や胸の中の異常(炎症・水・空気など)でも起こりえます。

特に注意したいのは、「安静にしても呼吸が落ち着かない/寝ているときも呼吸が速い」「舌や歯ぐきが青紫になる(チアノーゼ)」が見られる場合です。
こうした様子が見られる場合、呼吸器や心臓、気道に負担がかかっている可能性があります。

とくに受診に至るケースでは、安静時の呼吸数が40回/分を超えていることがあります。この状態では肺水腫が隠れていることもあるため、早めの受診をおすすめします。

犬や猫は苦しくても本能的に我慢してしまうことが多く「苦しそう」と見て取れる状態が続いているなら、体はすでに限界に近づいていることもあります。
飼い主様が気づいた「呼吸の様式」と共に、動物病院へお伝えください。

熱中症についてはこちらで解説しています

 

呼吸音の異常|「ブーブー」と低い音?「ピーピー」と高い音?

犬や猫の呼吸音の異常が観察された場合、獣医師は以下の観点で分けて考えます。

①聴診器がなくても聞こえる音(主に上部気道の影響が多い)
②聴診器で胸に当てて分かる音=副雑音(肺や気管支の影響が多い)

犬では喉や気管のトラブルが背景にあることが多く、猫では鼻や上部気道の問題が関係しているケースがよく見られます。

飼い主様が気づける大切なヒントは、呼吸音が「低い音」なのか「高い音」なのかという、音の高さです。ここからは、よく聞かれる呼吸音の特徴をご紹介します。

 

<スターター(stertor)呼吸:「ガーガー」「グーグー」いびきのような低い音>
スターター呼吸は、いびきに似た「低く濁った音」が特徴で、寝ているときやリラックス時に目立つことがあります。
空気の通り道の“入口側”(鼻〜のど周辺)で流れが乱れると起こりやすく、軟口蓋の問題や咽頭まわりの異常、頸部の気管がつぶれやすい状態などでみられることがあります。
受診のきっかけとして「寝るとガーガーする」「興奮するとグーグーが強くなる」に気付くことがあります。

 

<ロンカイ(rhonchi:類鼾音):「ゴロゴロ」「ブーブー」分泌物が絡むような低い音>
低く濁ったゴロゴロ・ブーブーという音は、気道内に分泌物(痰)があるときに聞かれることがあります。咳・くしゃみ・鼻水を伴うことも多く、いわゆる“風邪っぽい”症状として気づかれるケースもあります。

 

<ガチョウ様音>
「ガーガー」「ガァガァ」といった“ガチョウが鳴くような音”として訴えられる場合、気管虚脱などの疾患や気管が刺激を受けやすい状態を疑うきっかけになります。

 

<ストライダー(stridor)呼吸:「ヒューヒュー」「ピーピー」甲高く連続する音>
ストライダーは、喉頭〜気管あたりが狭くなったときに出やすい、甲高く連続した呼吸音です。
口を開けて呼吸しているときに強く聞こえる場合は、喉頭の麻痺や腫瘤など“のど側”のトラブルが関係することがあります。
一方で、口を閉じていても同じような高い音が続く場合は、外鼻孔の狭さや鼻腔内の病変など“鼻側”の問題が関与するケースもあります。

汽笛音(きてきおん)
「ピーーー」と汽笛のように鋭く高い音は「空気の通り道が細くなったときのサイン」です。
このような狭窄(きょうさく)が進むと呼吸が一気に苦しくなり、酸素が取り込めず体調が急変するリスクがあります。 音が急に強くなったり、安静にしても改善しない場合は早めに受診してください。

呼吸音の異常はいずれも、最初は小さい音から始まり、慢性化していくにつれて音が大きくなるのが特徴です。
「昔から少し音がするから」と様子を見ているうちに、呼吸が苦しくなってしまうこともあるため、早めの相談が予後に関わってきます。
呼吸音だけで判断するのは難しいため、動物病院で全身の様子を診てもらうことが大切です。

 

受診の目安|様子見でよい場合/早めに相談したい場合

呼吸音が気になったとき、「すぐ病院に行くべきか」「少し様子を見ても良いのか」判断に迷われる飼い主様は少なくありません。

一般的に、ご自宅での様子見が可能なケースとしては「一時的で、すぐにいつもの呼吸の状態に落ち着いた」「元気や食欲に変化がない」などが挙げられます。

気づいたときに動画や音をスマートフォンで記録しておくと「いつ、呼吸がどんな状態だったか」が分かるため、診察で非常に役立ちます。
ただし長期間の「様子見」はリスクも伴います。

 

<すぐに動物病院へ相談したいサイン>
✔異常な音が長期間続く
✔咳が増えてきた
✔安静にしても呼吸が苦しそう
✔呼吸音とともに元気や食欲が落ちている
✔舌や歯ぐきの色が青紫に変色している
✔楽な姿勢を取ろうとして動かない
✔発熱している

このようなサインは体が必死に病気に抵抗している状態であると考えられます。
早すぎるということはありません。判断に迷ったときは、すぐに獣医師に相談してください。

来院時の注意点についてはこちらで解説しています

 

まとめ|呼吸音は体からのメッセージ

犬や猫の呼吸は、本来とても静かで安定しています。
だからこそ「ゼエゼエ」「ピーピー」「ゴロゴロ」といった音の変化は、体調異変に気づく重要なきっかけになります。

言葉で不調を伝えられない動物たちにとって、呼吸音や様子の変化は、飼い主様への分かりやすいメッセージです。「いつもと呼吸の様子が違う」と感じたらお気軽に当院へご相談いただければと思います。

■愛知県の豊田市、岡崎市、日進市、名古屋市名東区で動物病院をお探しの方はダイゴペットクリニックへお越しください!
豊田中央医療センターの病院案内ページはこちら
岡崎大和院の病院案内ページはこちら
日進オハナ院の病院案内ページはこちら
名古屋名東院の病院案内ページはこちら
名古屋中村動物医療センターの病院案内ページはこちら

※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。