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DAIGO PET CLINIC

犬のフィラリア症について|毎年、確実に予防することで命を守れます

犬で重要な感染症の1つに、フィラリア症(犬糸状虫症)があります。
フィラリア(犬糸状虫とも呼ばれます)という寄生虫が感染することで引き起こされ、日本を含む世界各地でみられる病気です。
治療が難しく、重症化すると亡くなってしまう危険性がある一方で、お薬を適切に投与することで発症を予防できる病気でもあります
ご家庭の犬がフィラリア症にかかってしまわないよう、予防法をしっかりと理解しましょう。

症状・原因

重症度によって程度は異なりますが、一般的に呼吸器や循環器に関わる症状が現れます。
軽度の場合は無症状のこともありますが、次第に咳が出る、動きたがらない、呼吸が苦しそうになるといった異常がみられ、最終的には死に至ってしまいます
また犬糸状虫症という別名がありますが、犬だけに感染するわけではなく、まれですが猫にもみられます。
猫のフィラリア症は、犬と比較すると感染率は低いものの、感染した場合は犬よりも重度の症状を示す場合があるため注意が必要です

フィラリア症は、蚊によって媒介されるフィラリアが感染することで引き起こされます。
フィラリアの幼虫(ミクロフィラリアと呼ばれます)が蚊から犬の血液中に移動すると、犬の体内を移動しながら成虫へと成長し、肺の血管や心臓に寄生して、血流に影響を及ぼします。

診断・治療

動物病院では心臓や肺の音を聞くとともに、血液を採取してミクロフィラリアがいるかどうかを確かめ、エコーやレントゲンを実施することで診断に結び付けます。

フィラリア症を一度発症してしまうと、その治療は困難です
肺の血管や心臓に成虫がいる場合は症状が重度で、手術によって物理的に摘出する必要がありますが、身体への負担が大きくリスクも高くなります
後述する予防薬を長期間投与して幼虫を駆除する治療法もありますが、成虫に対する効果はなく、治療中に成虫が血管に詰まってしまう可能性もあります。

予防法

フィラリア症の治療は困難ですが、毎年予防薬を投与することで発症を防ぐことができます
まず投与前に、フィラリアに感染しているかどうかを判断します。
生後7カ月以上の犬に対しては、年1回の検査を行うことが推奨されています。
定期検査には抗原検査とミクロフィラリア検査がありますが、前者の方が精度は高いといわれています。

予防薬は一般的に、蚊が発生し始めて1カ月後から、蚊がいなくなった1カ月後まで、月に1回投与し続ける必要があります
これは、予防薬が幼虫の駆除を目的としていて、感染してから成虫になるまで50~70日(2カ月弱)かかるためです。
しかし温暖化の影響により、冬場でも排水溝やマンションに蚊が生息していたり、一度投薬をやめて再び投薬を再開することを忘れてしまう可能性などから、当院では通年の予防をお勧めしています
また、予防薬にはノミ・ダニ予防を兼ねたものもあるため、積極的にご利用ください。

予防薬を処方する際、通年投与であっても年1回の抗原検査が必要です
その際にあわせて健康診断を目的とした血液検査も一緒に実施していただくと、健康状態をより詳しく把握できます
猫の場合は抗原検査の必要はないですが、予防は犬同様に必要です。

予防薬には、錠剤、チュアブルタイプ、スポットオンタイプ、注射製剤といった様々な種類があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、ご利用の際には獣医師までお尋ねください。

注意事項

症状がない(あるいは今までかかったことがない)からといって、絶対にお薬の投与をやめないようにしましょう。
フィラリア症は適切に予防していれば発症しない反面、怠ってしまうと取り返しのつかないことになる可能性があります
当院でも、予防薬を投与していなかったために感染・発症してしまった症例が年に数件あります。
予防薬を処方されたら、決められた投与間隔をしっかりと守り、確実に発症を防ぎましょう。

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今年度の狂犬病ワクチンが始まりました!ご予約なしでも接種可能ですが、予防期間中は込み合うことが多くなりますので、お時間には余裕を持ってご来院ください。
また、フィラリア予防の血液検査も一緒に行うことをお勧めしております。
狂犬病の記事はこちらから

※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。

(参考文献:2018-AHS-Canine-Guidelines.pdf (heartwormsociety.org))