犬と猫の認知症について|家庭でできるケアや対処法を解説
犬や猫が高齢になってくると、脳の機能が衰えはじめ、行動や性格に変化がみられることがあります。これは人間の認知症と同様で、動物では認知機能不全症候群とも呼ばれます。
残念ながら根本的な解決策はありませんが、薬やサプリメントなどを利用したり、飼育環境を整備したりすることで、日々の生活の質を少しでも良くすることはできます。
今回は犬と猫の認知症について、その症状や原因とともに具体的な対処法を解説します。
目次
症状
認知症になると、距離感覚がうまくつかめずに階段を踏み外す、夜になると吠え続ける、普段はおとなしい性格でも攻撃的になる、ハウスやトイレの位置を間違える、寝たきりの状態が増えるなどが見られるようになります。こうした変化は基本的に治ることはなく、動物だけでなく飼い主様の生活にも影響が出てしまいます。
原因
高齢になると、脳の大脳や海馬(認知機能をコントロールする部分)に進行性の変化がみられ、認知症の発症へとつながります。ただし、すべての犬や猫が発症するわけではありません。
また、脳の腫瘍や体の病気が原因となって、認知症のような症状が現れる場合もあります。
診断
行動や性格の変化が認知症によるものかどうかを調べるには、まずは身体検査や画像検査で他の病気の可能性を排除する必要があります。認知症が疑わしい場合には、本当に認知症なのか、あるいは認知症がどのくらい進行しているのかを調べるための質問票をチェックします。診断ツールの1つであるCCDR(Canine Cognitive Dysfunction Rating scale)では、飼い主様が自分のペットの行動についての質問に回答する形式で行います。60点を満点とし、点数が高いほど認知症の可能性が高く、病気が進行していると評価できます。これらの結果を総合して判断し、その後の治療方針を決めていきます。
治療
認知症に対する効果的な治療法は確立されていません。
下記の内容では認知症の問題行動を軽減し、これ以上病気が進まないように、自宅で出来る対処法をご紹介します。
・薬の投与
日本では認知症の薬として認可されている動物用医薬品はありませんが、抗不安薬や鎮静薬などを応用することがあります。
・サプリメントの利用
加齢による脳の変化には酸化が関わっているといわれているため、抗酸化作用をもつサプリメントを利用することがあります。有用な成分として、N-アセチルシステイン、α-リポ酸、ビタミンC、コエンザイムQ10などの物質が注目されています。これらを含むサプリメントはいくつかあるため、詳細については獣医師までお気軽にお尋ねください。
ダイゴペットクリニックでは、認知症改善の為のサプリメントとして、アンチノールをお勧めしています。
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・飼育環境の整備
生活範囲をサークルで囲う、段差をなくす、オムツをつけるなど、動物の症状にあわせて飼育環境を変えることで、生活しやすくする工夫を施します。
予防法
加齢が原因のため、完全に予防することは困難です。ただ、身体や脳は日頃から使っていないと衰えてしまうので、健康であれば毎日散歩に行ったり、おもちゃで遊ばせたりして、脳と体に刺激を与えることが重要です。
まとめ
より長く健康に過ごすためには、日ごろから身体を動かし、脳を使うことがポイントです。また、ご家庭では気づきにくい異常を早く発見するためにも、定期的に健康診断を受けることをお勧めします。
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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。
<参考文献>
Dietary enrichment counteracts age-associated cognitive dysfunction in canines