犬と猫の適切な水分摂取量とは? |健康を守るために水分管理が大切
愛犬や愛猫が健康に過ごすためには、食べ物と同じくらい十分な量の水が欠かせません。年齢や品種によって異なりますが、水は体重の約60%を占めており、水分摂取量が不足すると体調に大きな影響を与えます。
水分不足は、深刻な健康問題を引き起こす原因となり得るため、日頃からしっかりと水分摂取を確認し、十分な水を供給することが非常に重要です。
今回は、愛犬や愛猫の健康を守るために適切な水分摂取量はどのくらい必要なのか、水分不足によってどのような変化が見られるのかについて解説します。
目次
犬や猫の健康における水分の重要性
動物の体内で、水はさまざまな役割を担っています。
・血液の液体成分として栄養分などを全身に運ぶ
・不要なものを尿として体の外に排出する
・細胞の形や機能を保つ
・細胞間での化学反応を助ける
また、水分は体重の約60%を占めており、体内で最も多い成分です。そのため、水は生きていくうえで最も重要なものといっても過言ではありません。
犬の適切な水分摂取量
愛犬が常に新鮮な水を飲める環境を整えることが大切です。
これは健康面だけでなく、動物福祉の観点からも重要です。動物福祉とは、動物が健康で快適に過ごせるようにするための考え方や取り組みを指します。
例えば、犬は1日に体重1kgあたり50〜60mLの水分が必要とされています。体重5kgの犬なら、1日に約250〜300mL(500mLペットボトルの半分くらい)の水を飲むことになります。
ただし、気温や運動量、年齢、フードの種類によっても必要な水分量は変わるため、愛犬が普段どれくらいの水を飲んでいるのか、一度観察してみましょう。
猫の適切な水分摂取量
猫も犬と同様に、常に新鮮な水を飲める環境を整えてあげることが必要です。一般的には、猫も1日に体重1kgあたり50~60mLの水分が必要とされています。猫の運動量は家庭ごとにあまり変わらないことが多いですが、フードの種類によって必要な水分量は大きく異なります。
例えば、ドライフード(水分が10%以下)をメインで与えている場合、ドライフードだけでは十分な水分を確保できないため、多めに水を飲む必要があります。
一方、ウェットフード(水分が75%程度)をメインで与えている場合は、ドライフードを与えている猫よりも水を飲む量が少なくても問題ありません。
水分が足りていないときの見分け方
健康な犬や猫は、喉が渇いたときに自分で水飲み場に行き、必要な水分を摂ることができます。
しかし、下痢や嘔吐で体内の水分が多く失われたり、慢性腎臓病で尿を濃縮する機能が低下したり、骨折や脱臼でうまく動けず水が飲めなかったりすると、脱水になることがあります。
水分不足を簡単にチェックする方法の一つに、ツルゴール反応があります。
これは、皮膚をつまんで元に戻るまでの時間を測る方法です。健康な状態では皮膚はすぐに戻りますが、軽度の脱水(5〜6%)だと2秒ほどかかり、中等度の脱水(6〜8%)では2〜3秒かかります。重度の脱水(10〜12%)になると、皮膚が元に戻らずテントのように張ったままになります。
さらに、脱水の他の兆候として以下のようなものがあります。
・口や鼻の乾燥
・元気や食欲の低下
・ふらつきやけいれん
脱水症状は体の機能が維持できなくなることで命に関わる危険性もあります。
水分摂取を促す方法
愛犬や愛猫にはいつでも新鮮な水を用意し、飲めるようにしておきましょう。水が汚れている場合は、こまめに取り換えるように心がけましょう。
特に猫は水入れにこだわることが多いので、いろいろなタイプの水入れを試して、愛猫が気に入るものを見つけてあげてください。
例えば、流水タイプの水飲み器や、広口のボウルなどがあります。
それでも水を飲まない場合は、次のような工夫を試してみましょう。
・ドライフードをウェットフードに変える。ウェットフードには水分が多く含まれているため、水分摂取量が自然と増えます。
・水に少量のスープや無塩の鶏肉の煮汁を加えて風味をつける。
・水飲み場をいくつかの場所に設置する。
これらの方法を試しても水分摂取が不十分な場合は、獣医師に相談することをお勧めします。脱水は深刻な健康問題を引き起こす可能性があるため、早めの対応が大切です。
ダイゴペットクリニックでは猫の飲水をサポートする猫用の経口補水液「ハイドラケア」を取り扱っています。
まとめ
水は、犬や猫が健康に暮らすために欠かせないものです。もし愛犬や愛猫の水分摂取が足りていないと感じたら、早めに動物病院を受診して原因を探ることが大切です。
また、家庭でも水分摂取を促す工夫を試してみましょう。新鮮な水を常に用意し、好みの水入れを使うなど、ちょっとした配慮が大切です。
■関連する記事はこちらで解説しています
・犬と猫のフードの選び方について|品種や年齢、病気の有無によって選ぶのが大事!
・犬と猫の熱中症について|真夏でない春先~初夏でも要注意
・犬と猫の室内温度設定について|快適な室温にもう迷わない
■愛知県の豊田市、岡崎市、日進市、名古屋市名東区で動物病院をお探しの方はダイゴペットクリニックへお越しください!
・豊田中央医療センターの病院案内ページはこちら
・岡崎大和院の病院案内ページはこちら
・日進オハナ院の病院案内ページはこちら
・名古屋名東院の病院案内ページはこちら
※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。
<参考文献>
National Research Council. (2006). Nutrient Requirements of Dogs and Cats. National Academies Press.