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猫の口内炎が治らないときは?|原因と痛みを和らげる治療法

「最近フードを食べたがらない」
「よだれが増えた」
「口を触ろうとすると嫌がる」
こうした変化が見られるとき、猫の口内炎が疑われます。

また動物病院にかかっても、なかなか治らず、長期化する口内炎に悩まれている飼い主様も少なくありません。

しかし治療の選択肢がないわけではありません。近年は多方面からのアプローチによって、症状の改善が期待できるケースも増えてきています。

この記事では、猫の口内炎の原因や症状についてわかりやすく解説し、少しでも猫ちゃんの痛みを和らげるヒントをお伝えします。

猫の口内炎とは?

猫の口内炎とは、口の中、特に歯ぐきや頬の内側、舌の奥などの粘膜に強い炎症が起こる病気です。
「歯肉口内炎」、「慢性潰瘍性歯周口内炎」などと呼ばれることもあり、ただ赤く腫れるだけでなく、びらん(ただれ)や潰瘍、出血をともなうこともあります。
病変が左右対称であったり、歯槽粘膜まで広がっていたりする点で、歯周病とは異なるため注意が必要です。

炎症が進行すると、痛みや不快感によって食欲が落ち、十分な栄養を摂れなくなるため、体重の減少、毛づやの悪化、免疫力の低下など、体全体に影響が出てきます。

放置し続けると栄養状態の悪化が命に関わることもあるため、早期の診断と適切な対応が重要です。

 

口内炎の原因と背景

そもそも「なぜ猫が口内炎を発症するのか?」その原因をお伝えします。

免疫の異常が関与している
猫の口内炎は、本来体を守る免疫が口の中の正常な組織を攻撃してしまう自己免疫的な反応が関係していると考えられています。
このような場合、抗炎症薬や抗生物質では効果が限られ、根本的な改善が難しいことがあります。

 

ウイルス感染との関連
関与が疑われているのは、猫カリシウイルス、猫白血病ウイルス(FeLV)、猫免疫不全ウイルス(FIV)などの感染症です。
これらのウイルスに感染している猫では、炎症が慢性化しやすく、治りにくい傾向があります。

 

症状の波と再燃
一度落ち着いたように見えても、数週間から数か月後に再発することがあります。
そのたびに「薬が効かない」「もう治らないのでは」と感じてしまうこともありますが、継続的な治療で改善が見込めるケースもあります。

 

<猫の口内炎が治らない理由>
猫の口内炎がなかなか治らないのは、免疫やウイルスなど複数の要因が関わっており、根本的な治療が難しいためです。
一度発症すると、長期的に付き合っていく必要があるケースも少なくありません。再発を防ぐには、原因に応じた継続的なケアや、歯科処置・免疫調整などの総合的な対応が大切です。

 

猫が見せる“痛み”のサイン

猫は痛みに対してとても我慢強い動物です。そのため、飼い主様が「はっきりと異変に気づいたとき」には、すでに症状がかなり進んでいることも珍しくありません。

以下のような仕草や行動は、口内炎による不快感や痛みのサインである可能性があります。

・フードの前に座るが、すぐに立ち去る
・口に入れたフードをこぼしてしまう
・固いものを嫌がり、ウェットフードしか食べなくなる
・前足で口元を何度も触る
・口のまわりがよだれで汚れている
・毛づくろいをしなくなる
・急に人との接触を避けるようになる
・口臭が強くなる

こうした変化を「なんとなく元気がない」「年齢のせいかも」と見過ごさず、病気のサインかもしれないと捉えて、できるだけ早く動物病院で相談することが大切です。

 

治療の選択肢|多角的なアプローチ

「治らない」と言われた場合でも、適切な治療を根気強く続けることで、痛みの軽減や症状の改善、さらには完治が見込めるケースもあります。
猫の口内炎には、すべての症例に効果的な「これだけで治る」という治療法はありませんが、症状の重さや体質に応じて、複数の治療を組み合わせることがとても大切です。

 

<内科治療(薬による治療)>
・抗炎症薬・鎮痛薬:炎症や痛みの軽減
・抗生物質:細菌感染のコントロール
・ステロイド・免疫抑制剤:自己免疫反応の抑制

特にステロイドや免疫抑制剤は、長期間使用すると副作用のリスクがあるため、獣医師のもとで慎重なモニタリングと治療計画が必要です。

 

<外科治療(抜歯)>
・全臼歯抜歯:臼歯いわゆる奥歯を全て抜く治療で、高い治療効果が報告されています
・部分抜歯:奥歯や炎症の強い部位を中心に抜歯をおこなう
・全顎抜歯:重度の場合には、すべての歯を抜歯する

抜歯により炎症の原因を取り除き、症状が大きく改善することが期待できます
「歯を抜くなんてかわいそう」と感じる飼い主様もいらっしゃいますが、痛みのない生活を取り戻せるため、結果的に猫にとってのお口の健康とQOL向上につながる場合があります。

 

<補助的な治療>
・レーザー治療:炎症部位に照射することで、痛みの緩和や治癒の促進を目指す治療法
・サプリメント療法:免疫の調整や口腔粘膜のサポートを目的とした栄養補助
・食事管理:刺激の少ないフードや、柔らかくて食べやすい食事への切り替え

猫の状態や性格、体質に応じて治療法を組み合わせることが重要です。
「治らない」と感じたときこそ、多角的な視点での見直しが、猫にとっての最善の一歩につながります。

 

他院で「治らない」と言われても|セカンドオピニオンで広がる可能性

「いくつかの病院を受診したけれど、良くならなかった」
「治療がいつも同じで、このままで大丈夫か不安」

そんなときは、セカンドオピニオンを検討してみることも選択肢のひとつです。

猫の口内炎は、原因や体質によって治療のアプローチが異なり、一つの治療法ですべての猫に効果が出るとは限りません。
だからこそ、違った視点で見直すことで、新たな可能性が見えてくることもあるのです。

ダイゴペットクリニックでは、口腔・内科・感染症・栄養管理など、さまざまな角度から症状を捉えた治療プランを提案しています。
「もう治らないかもしれない」と感じている飼い主様にも、あきらめずに向き合う体制を整えています。

動物病院の「セカンドオピニオンについてはこちらで解説しています

 

まとめ

猫の口内炎は、完治が難しいこともある病気です。
それでも、痛みを和らげ、生活の質を保つ方法はたくさんあります。

「口を気にしてつらそうにしている」、「治療が長引き、今後の方針に悩んでいる」
このようなささいな心配事も、お気軽に当院へご相談ください。

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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。