犬の甲状腺機能低下症について|脱毛やたるみなど皮膚に症状が現れる
甲状腺は代謝に関わるホルモンを分泌する器官で、猫では甲状腺機能亢進症という病気がよく知られています。
その一方で、犬で多い甲状腺の病気は甲状腺機能低下症です。太る、あるいは動きがゆったりとする、といった症状が現れますが、高齢になると病気でなくてもこうした犬は多いため、ご家庭で発見することが難しい病気の1つです。
今回は犬の甲状腺機能低下症について、症状や原因、診断・治療法などをご紹介します。
目次
症状
特によくみられるのは皮膚症状で、背中や尻尾で脱毛やフケ、色素沈着などが現れます。
また顔の皮膚がたるむことで、悲劇的顔貌(垂れ目で悲しそうな表情)と呼ばれる特徴的な様子が観察されます。
それ以外にも、代謝が落ちることで太る、だるそうにみえる、といった症状もみられます。ただし、太っていておっとりとした性格の犬はたくさんいるため、こうした症状だけで甲状腺機能低下症と断定することは難しい病気です。
なお、まれではありますが神経症状が現れるケースもあります。
原因
詳しい原因はよくわかっていませんが、多くは甲状腺そのものに異常があり、甲状腺ホルモンの分泌が減ることによって発症します。
また発症しやすい犬種として、ドーベルマンやレトリーバー種、アメリカン・コッカー・スパニエルなどが知られています。中高齢の犬に多いといわれていますが、どんな年齢でも起こりうる病気です。
診断
甲状腺機能低下症を診断するには、皮膚の症状だけでなく、血液検査やホルモン検査、画像検査などを実施して総合的に判断します。
血液検査では、脂質の項目に異常がみられることがあります。
また、ホルモン検査ではサイロキシン(fT4、tT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)という項目を測定し、前者が低く後者が高いようであれば、甲状腺機能低下症の可能性が高いと考えます。
この中でtT4については他の病気によって低値を示すこともある(Euthyroid Sick)ので、診断は慎重に行います。
そして、画像検査では主に超音波検査を利用して、甲状腺のサイズや状態を確認します。
治療
甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンが少なくなっているので、それを補うために甲状腺ホルモン製剤を投与します。
治療開始後は定期的にご来院いただき、症状の具合や甲状腺ホルモンの数値を確認して、投与量を調整します。時間はかかりますが、しっかりと投薬できていれば症状も改善して、元気に過ごせます。
予防法
予防法は確立されていません。そのため、脱毛や皮膚のたるみなどの症状が現れたら、早めに動物病院を受診しましょう。
まとめ
皮膚の症状は皮膚の病気によるものと思われがちですが、甲状腺機能低下症のようなホルモンの病気が関わっている可能性もあります。外見だけでは判断できないので、動物病院でしっかりと検査をして、原因を突き止めることが重要です。
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