犬と猫のてんかんについて｜異常な脳神経の興奮によって引き起こされる発作
てんかんとは、脳の神経が異常に興奮して発作を引き起こす病気を指します。
犬や猫が突然意識を失うこともあるため、不安を感じる飼い主様も多いかと思いますが、お薬を飲み続けることで症状が現れないようにコントロールすることもできます。
今回は犬と猫のてんかんについて、その症状や治療法などを解説するとともに、実際に起こってしまった際の対処法をお伝えします。
目次
てんかんの症状と原因
てんかんは、異常な脳神経の興奮によって引き起こされる発作（てんかん発作）が24時間以上あけて2回以上認められる病気と定義されています。
では、その発作とはどのような症状なのでしょうか。
発作の重症度によっても異なりますが、脳の一部が興奮する発作（焦点性てんかん発作）では、顔がぴくぴくとけいれんする、瞳孔が開く、よだれが流れる、落ち着きがないといった症状がみられます。
一方で脳の広い範囲で興奮する発作（全般てんかん発作）では、手足のけいれん、意識の消失、尿あるいは便の失禁、脱力といった症状がみられます。
発作は通常、1～2分程度で治まりますが、さらに重度になると5分以上続いたり、意識が回復しないまま2回以上のてんかん発作が発生したりすることもあります（てんかん重積）。
このような状態は命の危険に関わるので、早急に動物病院を受診するようにしましょう。
てんかんは、その原因から特発性てんかんと構造的てんかんに分けられます。
特発性てんかんは遺伝が関係するといわれていて、どの犬種でも起こる病気ですが、日本でよく飼育されている犬種で遺伝的要素が疑われているものとしてはゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、シェットランド・シープドッグ、ダックスフンドなどの品種が挙げられます。
猫は犬よりもまれですが、同じような症状が現れます。
また構造的てんかんは、腫瘍やケガ、生まれつきの病気、感染症などによって引き起こされます。
てんかんの診断と治療法
動物病院では飼い主様に発作の時のお話を聞き、その発作がてんかんによるものかどうかを判断します。
その際、発作時の様子を動画で撮影していただけると、細かな症状や発作の継続時間などがよくわかり、正確な診断につながります。
続いて身体検査や血液検査、画像検査などを行い、てんかん以外の病気を除外していきます。
治療は、基本的にはお薬（抗てんかん薬）を処方し、発作がなるべく起こらないようにコントロールします。
ただし特発性てんかんの場合、根本的な治療は困難な為、定期的に受診していただき薬の量を調整する必要があります。
またご自宅でお薬をあげるにあたって、症状が出ていないからといって絶対に服用をやめないようにお願いをしています。
お薬でコントロールされていた発作が再発すると、以前よりも強い症状が出てしまう場合が多くあります。
てんかんの予防法と対処法
遺伝や他の脳の病気が関係するため、具体的な予防法はありません。
実際に発作が起きてしまった場合は、慌てて犬や猫に手を出したりせず、発作が治まるまで静かに見守っていてください。
ただし、てんかん重積状態の場合は緊急の対応が必要ですので、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
まとめ
てんかんは基本的に治ることがなく生涯にわたって付き合っていく必要がある病気ですが、お薬によってうまくコントロールできれば、普段と変わらない生活を送ることもできます。
過度に恐れず、もし症状が出た場合でも今回の記事を参考に落ち着いて対処していただけますと幸いです。
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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。
(参考文献：International veterinary epilepsy task force consensus report on epilepsy definition, classification and terminology in companion animals | BMC Veterinary Research | Full Text (biomedcentral.com))