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犬と猫のホルモン検査について|体調不良の原因はホルモンかも?

ホルモンの病気は、原因が異なっていても似たような症状が現れることが多く、異常に気づきにくいことがあるので確実な診断が求められます。そのためには、ホルモン検査が欠かせません。
しかし、この検査はあまり頻繁に行われるものではないため、「どんな検査なの?」「何がわかるの?」といったご不安を感じる飼い主様も多いかもしれません。

今回は、犬や猫のホルモン検査について、その方法や実際に診断できる病気などを詳しくまとめてお伝えいたします。

ホルモン検査とは

ホルモン検査とは、ホルモンの病気(内分泌疾患)を診断するために実施される検査です。ホルモンに異常があると、元気や食欲、水を飲む量、皮膚や被毛などに影響します。それだけでなく、病気によっては日常的に嘔吐を繰り返したり、神経症状を引き起こしたり、ショック状態に陥ったり、体内で血栓ができやすくなったりとさまざまな問題を引き起こします。
しかし、これらの症状はホルモン以外の病気でも見られることがあるため、ホルモン検査だけでなく、さまざまな検査結果を総合的に判断することが必要です。

 

検査の方法

ホルモン検査では採血を行い、血液に含まれるホルモンの濃度を測定します。

 

臓器別の検査項目と疑われる病気

ホルモンの病気が疑われる場合には、以下のような項目を確認します。

<甲状腺>
サイロキシン(fT4とtT4)甲状腺刺激ホルモン(TSH)といった項目を測定します。

tT4あるいはfT4が高値の場合は、甲状腺機能亢進症が強く疑われます。この病気は特に高齢の猫に多く見られ、食欲が旺盛にもかかわらず痩せる、嘔吐、たくさん水を飲む、活動的になるといった症状が特徴です。甲状腺クリーゼという状態の急変を引き起こすこともあるため注意が必要です。

fT4が低値、TSHが高値の場合は、甲状腺機能低下症が強く疑われます。中高齢の大型犬に多く見られ、元気や食欲の低下、肥満、徐脈、脱毛などの皮膚の異常が見られることが特徴です。顔面神経麻痺や前庭障害といった神経の異常を引き起こすこともあります。

 

<副腎>
コルチゾール濃度を調べるために、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)刺激試験や低用量デキサメサゾン抑制試験を行います。

副腎皮質機能亢進症を疑う症状や検査所見が1つ以上あり、ACTH刺激試験1時間後にコルチゾール濃度が基準値以上、あるいは低用量デキサメサゾン抑制試験8時間後にコルチゾール濃度が基準値以下の場合は、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)と診断されます。中高齢の犬に多く見られ、多飲多尿、皮膚が薄くなりおなかがぽっこりとする、左右対称にかゆみを伴わない脱毛が見られるといった症状が特徴です。そのほかに、体内で血栓が作られやすくなったり、靱帯断裂の素因になったりすることがあります。

ACTH刺激試験後にコルチゾール濃度が基準値以下の場合は、副腎皮質機能低下症(アジソン病)と診断されます。この病気は犬でまれに発症し、元気や食欲の低下、嘔吐や下痢、徐脈(脈が遅くなる)といった異常が現れます。急性副腎不全というショック状態に陥った場合には緊急的な治療が必要になります。

副腎の検査として尿検査を実施することもあります。副腎皮質機能亢進症の検査として尿中コルチゾールクレアチニン比(UCC)、褐色細胞腫の検査として尿中ノルエピネフリンクレアチニン比を測定することがあります。

 

検査時の注意事項

・どの病気が疑われる場合でも、ホルモン検査だけでなく、画像診断の結果や実際の症状などを総合的に判断します。

・ホルモン以外の病気の影響によって、fT4の数値が上がったりtT4の数値が下がったりすることがあります。したがって、ホルモン検査の結果を単独で判断せず、他の検査結果も併せて確認することが重要です。

 

まとめ

ホルモンの病気は、症状だけで判断するのが難しいため、ホルモン検査の結果が非常に重要です。
また、ご家庭では異常に気づかないことも多いため、早期診断・早期治療を行うためにも、定期的な健診をおすすめします。
愛犬や愛猫の健康を守るために、ぜひ定期健診をご検討ください。

 

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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。

 

<参考文献>
Diagnosis of Spontaneous Canine Hyperadrenocorticism: 2012 ACVIM Consensus Statement (Small Animal) – Behrend – 2013 – Journal of Veterinary Internal Medicine – Wiley Online Library