場合によっては転移も|犬の肥満細胞腫について
肥満細胞腫は皮膚に発生する造血器腫瘍の仲間で、犬の皮膚の腫瘍のうち、11%程度を占めるとされています。
悪性度によっても異なりますが、様々な臓器やリンパ節に転移して、悪影響を与える可能性もあります。
今回の記事では、犬の肥満細胞腫に関する基本的な情報を知っていただいたうえで、どのようなできものができたら注意すべきなのかをお伝えします。
目次
症状・原因
肥満細胞腫の発生原因については、いろいろな議論が交わされていますが、明確な答えは出ていません。
ただし、肥満細胞腫が発生しやすい犬種も報告されていて、ボクサーやブルテリア、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーなどが挙げられます。
また、犬の肥満細胞腫は、50%が体幹や鼠径部(股の間)、40%が手足、10%が頭や首に発生するといわれています。
症状は多種多様ですが、皮膚に発生すると、赤くなって腫れ上がったり、毛が抜けたり、痒みがみられたりします。
肥満細胞は炎症を招く化学物質(ヒスタミンなど)を分泌するため、皮膚のしこり以外にも、消化管潰瘍やショック症状などがみられることもあります。
また、しこりに対して物理的な刺激を加えると、周辺の皮膚が赤みを増す現象(ダリエ徴候)が起こる場合があることも特徴的です。
悪性度が高いと、リンパ管を介して様々な臓器に転移してしまう危険性があります。
診断・治療
肥満細胞腫が疑われる場合は、しこりに対して細胞診検査を実施します。
肥満細胞腫の場合、特徴的な細胞が認められます。
ただし悪性度の分類は、しこりを一部採る検査(組織検査)でなければ、正確に判断できません。
※犬の肥満細胞腫の写真
腫瘍の悪性度によっても治療方針は異なりますが、低悪性度(大抵は1cm以下のしこり)であれば、外科手術により皮膚のしこりを切除することで、おおよそ再発がなく過ごすことができます。
一方で、高悪性度の場合は手術後も再発率が高く、補助的に化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法が併用されることもあります。
日常での注意事項
皮膚のできものや赤み、脱毛、痒みといった症状は、他の皮膚の病気でもみられるため、簡単には判断がつきません。
少しでも気になったら、まずは動物病院を受診していただき、その原因を探ることが重要です。早期発見・早期治療に努めましょう。
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当院では腫瘍科診療に力を入れており、腫瘍の三大治療が豊田中央医療センターで行うことができます。腫瘍科アドバイザー、獣医腫瘍科Ⅱ種認定医が在籍しております。
※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。