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犬と猫の皮膚腫瘍について|皮膚のしこり、それは何?

犬や猫の皮膚には、さまざまな種類のしこりができます。このような皮膚腫瘍は良性の場合もありますが、悪性(がん)のケースもあり、その区別は見た目だけでは判断できません。
良性であれば問題になることは少ないですが、悪性の場合は他の臓器に転移して命を脅かす危険があるため、早めに対処することが重要です。

今回は犬や猫の皮膚腫瘍について、その種類や治療法などについて解説します。

皮膚腫瘍とは?

皮膚腫瘍とは、皮膚の表面や皮下に存在する細胞が異常増殖してできる腫瘍のことです。この腫瘍には、良性と悪性(がん)のものがあり、それぞれに治療や管理が必要となります。
皮膚には多種多様な腫瘍が発生する可能性があり、その一部を以下に挙げます。

 

脂肪腫:脂肪細胞から発生する良性腫瘍
脂肪腫は、皮膚の下に柔らかく弾力のあるしこりとして現れることが多く、通常は無痛です。
比較的ゆっくりと成長し、良性であるため、急速に拡大したり周囲の組織に浸潤することはほとんどありませんが、サイズが大きくなる場合や痛みを伴う場合は治療が必要になることもあります。

脂肪腫についてはこちらで解説しています

 

毛包腫瘍:毛根や毛包に発生する腫瘍
毛包腫瘍は毛根や毛包(毛を包む構造)から発生する腫瘍で、良性から悪性までさまざまなタイプがあります。
毛包腫瘍は主にしこりとして現れ、成長速度や外観などがしばしば異なります。

 

肥満細胞腫犬に多い悪性腫瘍
肥満細胞腫は、特に犬に多く見られる悪性腫瘍で、皮膚にできるしこりとして現れます。
肥満細胞という免疫系の細胞が腫瘍化したもので、早期発見と治療(外科、放射線、抗がん剤治療など)が重要です。

肥満細胞腫についてはこちらで解説しています

 

扁平上皮癌:皮膚に発生する悪性腫瘍
扁平上皮癌は、皮膚の表面にある扁平上皮細胞から発生する悪性腫瘍で、特に日光に長時間さらされる部位に多く見られます。進行が早く、周囲の組織に浸潤するため、早期の診断と治療(外科、放射線、抗がん剤治療など)が必要です。

 

悪性黒色腫犬に多い悪性腫瘍
 悪性黒色腫は、メラニンを生成する細胞が腫瘍化したもので、皮膚に黒っぽいしこりとして現れることが多いです。悪性度が高いため、迅速な対応が求められます。

悪性黒色腫についてはこちらで解説しています

 

軟部組織肉腫犬に多い悪性腫瘍
軟部組織肉腫は、筋肉や脂肪などの軟部組織に発生する腫瘍で、周囲の組織に浸潤するため、外科的切除が主な治療法となります。

 軟部組織肉腫についてはこちらで解説しています

 

線維肉腫猫に多い悪性腫瘍
線維肉腫は、結合組織から発生する腫瘍で、特に猫に多く見られます。治療には外科的切除が必要で、再発するリスクもあります。

 

皮膚型リンパ腫:皮膚に発生するリンパ腫
皮膚型リンパ腫は、皮膚に発生するリンパ腫の一種で、全身性の症状を伴うことがあります。治療には抗がん剤治療などが用いられます。

リンパ腫についてはこちらで解説しています

 

原因

皮膚腫瘍の詳しい原因はまだ明らかにされていません。ただし、遺伝的要因、環境要因、免疫系の異常などが関与していると考えられています。
具体的な原因を特定するのは難しいですが、早期発見と適切な対処が重要です。

 

症状

皮膚腫瘍ができると、皮膚にぽっこりとしたしこりが現れます。これらのしこりは最初は小さいですが、次第に大きくなります。良性腫瘍の場合はゆっくりと成長しますが、悪性腫瘍の場合は急に大きくなったり、別の場所にもしこりができたりすることがあります。

しこりができる場所によっては、擦れて出血したり、歩きづらくなったりすることもあります。特に動物が気にして頻繁に舐めたり、引っかいたりする様子が見られた場合は、早めに動物病院で診察を受けましょう。

 

診断

皮膚腫瘍の診断には、まず細胞診や生検が必要です。これらの検査では、しこりの一部を採取して顕微鏡で観察し、腫瘍の種類を推測します。ただし、正確な診断を行うためには、しこり全体を切除して病理検査を行うことが重要です。

さらに、レントゲンやエコーを使って全身をチェックし、腫瘍が他の臓器に転移していないかを確認します。

 

治療

皮膚腫瘍の場合、基本的には手術でしこりを取り除く必要があります。特に、組織の間に広がる力が強い悪性腫瘍の場合は、取り残しによる再発を防ぐために、しこりの周囲の健康な組織も余裕をもって切除します。

手術後には、再発や転移を防ぐために抗がん剤治療を併用することもあります。抗がん剤治療は、腫瘍の種類や広がり具合に応じて方法が選ばれ、慎重に進められます。

 

予後

腫瘍の種類や進行状況によって、今後の予後は大きく異なります。
良性腫瘍や悪性度が低く、転移がない場合は、手術でしこりを完全に取り除くことで再発の心配なく過ごせる可能性が高いです。

一方、悪性腫瘍がすでに他の部位に転移している場合や、手術で腫瘍を完全に取り切れなかった場合には、予後は厳しくなります。

 

まとめ

皮膚腫瘍は、犬や猫でよく見られる腫瘍です。しこりは見た目で気づきやすいですが、良性か悪性かは検査をしないと判断できません。
気になるしこりを見つけた場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。

 

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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。