CLINICAL DEPARTMENT

診療科別

DAIGO PET CLINIC

愛鳥の呼吸が苦しそう?|鳥がかかりやすい呼吸器疾患の症状・原因と治療法

大切な家族であるコンパニオンバードと安心して暮らしていくためには、呼吸器疾患についての知識を持つことがとても大切です。
鳥は人間とは異なる独特な呼吸器の構造を持っているため、実は呼吸器系の病気にかかりやすい傾向があります。
こうした知識があると、飼い主様も早めに異変に気づいて、適切な対応がしやすくなります。

今回は、鳥に多い呼吸器疾患の症状や原因、そして日々の生活でできる予防法について解説します。

呼吸器障害がある際の症状

鳥に呼吸器障害があると、以下のような症状が見られることがあります。

くしゃみや鼻水:くしゃみや鼻水が出る場合、上部気道炎の兆候である可能性があります。鼻孔に汚れが溜まることもあるので注意が必要です。

呼吸困難:口を開けて呼吸をしたり、尾羽を上下させる「テールボビング」という動作が見られたりすることがあります。これは下部気道に問題があるサインかもしれません。

咳や異常な呼吸音:乾いた咳や通常とは異なる呼吸音が聞こえる場合、肺や気嚢の炎症を疑う必要があります。

食欲不振と体重減少:呼吸器疾患があると、全身の状態にも影響が出やすく、食欲が落ちたり体重が減ったりすることがあります。

 

呼吸器障害の原因

鳥の呼吸器疾患には、さまざまな原因が関係しています。ここでは主な原因についてご紹介します。

・感染症
細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などが原因になることが多く、ダニによる疥癬やウイルスによるPBFD(オウム類の嘴羽毛病)、BFD(セキセイインコ雛病)、マイコプラズマ感染症などが代表的です。
これらは鳥によく見られる呼吸器疾患として知られています。

・栄養不足
特にビタミンAが不足すると、呼吸器の粘膜が弱まり、感染しやすくなります。
ビタミンAは粘膜の健康を保つために必要で、欠乏すると粘膜が硬くなる「過角化」が生じ、病原体が侵入しやすくなります。

・肝障害
肝臓の問題も呼吸器疾患に影響を与えることがあり、全身の健康状態に関係しています。

・環境要因
乾燥した空気や温度管理が不適切だと、鳥の呼吸器に負担がかかります。特に冬は湿度が低くなり、粘膜が乾燥して感染のリスクが高まるため注意が必要です。
また、ガスストーブやホコリ、刺激性ガスによる中毒も、非感染性の原因として問題になります。

・誤嚥
食物や異物の誤嚥によって引き起こされる誤嚥性肺炎も呼吸器疾患の一因です。この場合、食道から誤って入った異物が気道を刺激し、炎症を引き起こします。

これらの要因は単独で病気を引き起こすこともあれば、複数の要因が重なって発症することもあります。鳥の健康を守るためには、栄養バランスの良い食事や快適な環境づくりがとても大切です。

 

診断

まずは、鳥がどのような環境で生活しているかをしっかりとお伺いします。飼育環境や与えている餌について詳しく確認することで、病気の原因がわかる場合もあります。もし環境や餌に問題が見つからなかった場合は、感染症の可能性を疑います。

感染症の有無を調べるためには、血液検査やスワブを使った遺伝子検査(PCR検査)が有効です。これらの検査により感染の原因や病原体を特定し、その結果をもとに適切な治療方針を決めていきます。

 

治療

鳥の呼吸器疾患への治療方法としては、まず飼育環境の見直しや改善が重要です。
特に、保温は鳥の体温を適切に保つための大切なケアで、ご自宅でも手軽に取り入れることができます。
鳥は体温調整があまり得意ではないため、寒さや急な温度変化がストレスとなり、これが呼吸器疾患の原因になることもあります。体調が悪いときには、少し暖かい環境を整えることで、代謝や免疫力が上がり、病気に対する抵抗力をサポートできます。

また、細菌が原因の感染症には抗生剤が効果的です。
ウイルス感染症の場合には、免疫力を高めるためのインターフェロン療法が選ばれることがあります。

 

予防法やご家庭での注意点

鳥の健康を守るためには、日常生活でのいくつかのポイントが重要です。

衛生的な環境:まず、ケージ内を清潔に保つことが大切です。毎日新鮮な水と食事を用意し、衛生管理を徹底しましょう。

新しい鳥の隔離:新しい鳥を迎え入れる際には、最初の2週間は別の場所で過ごさせ、健康状態に問題がないか観察しましょう。

適切な温度管理:特に寒い季節は保温に気を配り、鳥が快適に過ごせるよう温度を調整しましょう。また、適度な換気も心がけてください。

 

まとめ

鳥の呼吸器疾患については、早めの発見と日々の健康チェックがとても大切です。毎日の観察や予防に気を配ることで、大切な鳥との暮らしを安心して楽しむことができます。もし、呼吸が苦しそうにしている、くしゃみや鼻水が続いている様子が見られた場合は、早めにご相談ください。

当院では、経験豊富な獣医師が一羽一羽に寄り添いながら丁寧に診察し、最適な治療法をご提案いたします。愛鳥の健康のために、ぜひお気軽にご来院ください。

 

■鳥についてはこちらの記事でも解説しています
鳥の飼育方法について|性格や習性にあわせて飼育することが大切
エキゾチックアニマルの爪切りについて|無理をしない、ストレスを与えないことが大事!
ペットとして長く親しまれている|鳥の品種について

 

■愛知県の豊田市、岡崎市、日進市、名古屋市名東区で動物病院をお探しの方はダイゴペットクリニックへお越しください!
豊田中央医療センターの病院案内ページはこちら
岡崎大和院の病院案内ページはこちら
日進オハナ院の病院案内ページはこちら
名古屋名東院の病院案内ページはこちら

※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。