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犬と猫の白内障について|目が白く濁る病気

白内障は、目の中の水晶体が白く濁る病気で、これによって視力が低下します。白内障は犬に比較的よく見られる病気です。一方で、猫ではそれほど一般的ではありませんが、発症した場合は注意が必要です。
白内障はぶどう膜炎や緑内障など、他の目の問題を引き起こすリスクがあるため、早期の発見と治療が重要です。

今回は犬や猫の白内障について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。

原因

白内障の発生はさまざまな要因により水晶体が変性するために起こるとされています。要因として老化、外傷、遺伝、放射線、先天性、中毒、糖尿病などの全身性疾患が挙げられます。

遺伝的要因によって発生する白内障は特定の犬種、例えばトイ・プードルや柴犬、チワワ、ミニチュア・シュナウザー、コッカー・スパニエル、ビーグル、ジャックラッセル・テリアなどがリスクが高いとされています。
犬では主に老化や全身性の疾患、目の外傷などによって7歳以上の老齢期に発生することが多くありますが、猫では外傷を原因とするケースが多く見られます。

また糖尿病による高血糖は水晶体の変性を引き起こし、白濁を引き起こすことが知られており、注意が必要です。

糖尿病についてはこちらで解説しています

 

症状

白内障の進行は通常、以下の四つの段階に分けられ、それぞれで症状が異なります。

<初発白内障>
水晶体の白濁が15%未満
視力の低下はほとんど見られませんが、目に白い影が見え始めることがあります。この段階では日常生活において大きな影響はありません。

<未熟白内障>
水晶体の白濁が15%以上50%未満
視力が低下し始めます。物にぶつかることが増え、不安定に歩く様子が見られるようになります。

<成熟白内障>
水晶体がほぼ完全に白濁
視力の大幅な低下や、完全な失明が起こる可能性があります。水晶体が完全に白く濁り、透明度を失います。

<過熟白内障>
最も進行した段階です。
水晶体が融解し、脱臼することがあります。重篤な炎症や他の目の問題を引き起こすリスクが高まります

 

診断方法

白内障の診断には、問診、視診、およびいくつかの詳細な眼科検査が含まれます。
最初に飼い主様から愛犬や愛猫の行動変化や視力問題の詳細を聞き取り、次に以下のような目の検査を行い、総合的に診断します。

スリットランプ検査
細い光を使って角膜と水晶体の断面を詳しく調べ、白内障の進行度とその他の眼球の異常を特定します。

眼圧検査
眼内の圧力を測定します。白内障に合併した緑内障やぶどう膜炎などの診断に役立ちますこれらの疾患は白内障と共に進行する可能性があるため、重要な検査です

超音波検査
水晶体における白内障の程度やレンズの膨化、前眼房や後眼房における併発疾患の有無を確認します。

血液検査
糖尿病などの疾患は白内障を引き起こす要因となるため、全身疾患が白内障の原因であるかどうかを確認するために行います。

眼科検査についてはこちらで詳しく解説しています

 

治療方法

白内障の治療方法は病状の進行度に応じて異なります。
初期段階では、主に症状の管理と白内障の進行を遅らせることが目的で、抗炎症薬や抗酸化剤の投与を行います。場合によっては眼圧を管理するための点眼薬を使用することもあります。

一方、白内障が進行した場合や、視力に重大な影響を及ぼしている場合には手術が必要となることがあります。この手術では、濁った水晶体を摘出し、場合によっては人工レンズを挿入して視力を回復させます。

手術後の管理も非常に重要で、手術後は感染防止のための点眼薬を使用し、定期的に眼圧のチェックを行う必要があります。

 

予防法やご家庭での注意点

白内障を完全に予防することは難しいものの、糖尿病などのリスク要因を管理することで進行を遅らせることは可能です。

また、遺伝的に白内障の発症リスクが高い犬種については、若いうちから定期的な眼科検査をお勧めします。

 

まとめ

犬と猫の白内障は早期発見と適切な治療が鍵を握ります。
飼い主様は愛犬愛猫の目の様子や行動をよく観察し、異常を感じたらすぐに動物病院に相談してください。
定期的な眼科検診を通じて、愛犬、愛猫の健康を守りましょう。

 

■眼科に関する記事はこちらで解説しています。
犬のチェリーアイについて|目頭がさくらんぼのように腫れる病気
犬の涙やけについて│病気が隠れていることも
犬と猫の目やにについて│思わぬ病気が隠れていることも

 

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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。