CLINICAL DEPARTMENT

診療科別

DAIGO PET CLINIC

膝蓋骨脱臼について

こんにちはダイゴペットクリニックです。
季節も変わり肌寒さを感じることが多くなりましたね。

さて、今回は膝蓋骨脱臼についてお話します。

若い子の健診で「この子は生まれつき足が弱い」や「ヒザが緩い」、「パテラがあります」と譲渡元の方や獣医さんから言われた経験がある小型犬は、膝蓋骨脱臼と診断されることが多いと思います。

ちなみに「パテラ(Patella)=膝蓋骨」ですので、あるのが普通じゃないの!?と思う方が正解です。
私たちが時に使う「パテラ」は膝蓋骨脱臼の俗称です。

膝蓋骨脱臼は生まれつき(先天性)または発育性で発生することが多く、それ以外では外傷が原因になって起こります。
そういった背景から比較的若い犬の跛行の原因になる疾患です。

特に膝蓋骨が内側へ脱臼する膝蓋骨内方脱臼(MPL)の発生が多く、小型犬では全体の95%がMPLです。
両方の足にこの疾患を持つことが多いようです。

膝蓋骨外方脱臼(LPL)の発生はMPLと比較して少なく、大型犬や一部の遺伝的素因を持ったミニチュア・ダックスフンドで起こることが知られています。

ご家族が認識しやすいのは、
●スキップするような歩き方、
●後ろ足を挙げて膝を屈伸させた後に再び足をついて歩行する、
●段差やジャンプを躊躇する、
●抱き上げた際に後ろ足の足先が内旋してクロスする、
●変わった座り方(お姉さん座りをする)
などの症状で、急性にまたは習慣性に示します。

これらの症状とは相関しませんが脱臼の程度により診断時には4段階のグレードに分類されます。

根本的な治療方法は手術です。

当院では月1-2件程度の頻度で手術をしており、術後成績も比較的良好です。
手術適応の基準ははっきりと指針があるわけではありません。
症状があり、身体検査やレントゲン検査でMPLが明らかで、それが症状の原因である場合には手術が推奨されます。

明確な症状がない場合には経過観察となることが多く、逆に重症度が高い場合も専門病院へご紹介させていただくことがあります。

経過観察中は転ぶ、滑る、落ちる、足に負荷をかけすぎるなど、外傷性に悪化しない管理が大切です。

膝関節には膝蓋骨以外にも十字靭帯や半月板など歩行に重要な構造があり、それぞれが連動することで滑らかな歩行を可能にしています。
また後ろ足で大きく動く関節には股関節、膝関節、足根関節があり、歩行には各関節の連動も必要不可欠です。

膝が原因でない場合や整形学的疾患以外の可能性もあるので、足を上げる様子があれば受診をお勧めいたします。