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犬と猫の眼科検査について|目の健康を守るための大切な検査

目の健康は、直接的には命にかかわることはあまりありませんが、日々の生活においては非常に大切な役割を担っています。軽い症状から重い症状まで、多種多様な原因によって引き起こされる目の問題は、放っておくと急激に悪化することがあります。
特に、犬や猫は人間よりも視力が弱いといわれており、目の病気やケガにより視力がさらに低下してしまうと、その影響が日常生活に大きく現れます。

目の異常を正確に診断するためには、眼科検査が不可欠です。この検査は、血液検査や画像検査などとは異なり頻繁に行うわけではないため、検査内容や診断結果について疑問に思う飼い主様もいらっしゃると思います。

今回はそんな疑問を解決すべく、犬と猫に実施する眼科検査について、検査方法や目的、注意事項をご紹介します。

眼科検査とは?

眼科検査とは、目の異常を調べるための検査です。
目は、外側から角膜、水晶体、ぶどう膜、網膜などの異なる部分から成り立っており、それぞれの部位では、異なる種類の病気やケガが起こる可能性があります。

また、物を見るときに重要な役割を果たす神経にも、病気によって視力に異常が現れる場合もあります。

 

眼科検査の方法と目的

眼科検査には以下のような方法があります。

<視覚反応検査>

威嚇瞬目反応:目の前に物を近づけたときに、目をつぶる反応が起こるかを見る検査です。動物に視覚があるかを検査します。

眩目反射:急に強い光を目に当てることで、眩しがる(目をつぶる)反応を見る検査です。目の光への反射を検査します。

対光反射:強い光を目に当てたときの瞳孔の動きを見る検査です。光に反応がなければ、瞳孔は動きません。異常がある場合には視力に問題があるかあるいは脳神経の病気が疑われます。

綿球落下テスト:音の出ないコットンなどを落として、目で追えるかどうかを調べる検査です。

眼瞼反射:まぶたに触れたときに、まばたきをするかどうかを見る検査です。

迷路試験障害物などが設置された初めての場所に連れていき、動物の動きを観察する検査です。視覚障害がある場合には、障害物にぶつかったり、不安を感じて動きが鈍くなったりすることがあります。

さらに、この試験を部屋の明るさを変えて行うことで、夜盲や昼盲を判定することもできます。夜盲は暗い場所での視力が低下する状態を、昼盲は明るい場所で見えにくくなる状態を指します。

 

<スリットランプ(細隙顕微鏡)検査>
角膜、前房、水晶体の状態を観察します。
細隙灯顕微鏡という機器を使い、目に細い光を斜めに当てて角膜表面を観察します。角膜潰瘍が角膜表層(上皮)、中間層(実質)、深層(内皮)のどこまで到達しているのか、白内障がないか、などを判断できます。

スリットランプ

 

<フルオレセイン染色検査>
角膜に傷があるか確認します。
フルオレセインという黄緑色の液で角膜表面を染色し、角膜表面と涙のバランスを観察します。
角膜潰瘍などで角膜に異常がある場合には、病変部が染色液で染まり、視覚的に判断できます。角膜潰瘍などの診断に用いられます。

 

フローレス試験紙

 

<シルマー検査>
涙の量が正常か確認します。
目に試験紙を当て、涙の量を測ります。ドライアイや、乾性角結膜炎などの診断に用いられます。

シルマー試験紙

 

<眼底検査>
網膜や視神経の状態を確認します。
双眼倒像鏡を用いて網膜や視神経などを確認していきます。高血圧による網膜剥離や眼底出血、視神経乳頭の浮腫などの診断に用いられます。

 

<眼圧測定>
眼球は、房水という液体によって圧力(眼圧)が保たれており、これを測定する検査です。
緑内障(眼圧上昇)やぶどう膜炎(眼圧低下)などの診断に用いられます。

眼圧計

 

<眼科エコー検査>
眼球内の構造をエコー検査で確認します。眼内腫瘍、網膜剥離、水晶体脱臼などの診断に役立ちます。

眼エコー画像

 

注意事項

眼底検査は網膜や視神経の病気の診断に役立ちますが、眼底の様子は個体差が大きいため、正確な診断が難しい場合もあります
また、犬や猫が興奮している場合には、検査が実施できない場合もあります。

目の病気は、必ずしも眼球そのものに原因があるわけではありません。時には全身的な健康問題が、眼球や視覚に影響を与える症状として現れることもあるため、目の健康だけでなく、全身の健康状態を把握することも重要です。

 

まとめ

眼科検査は、目の状態を知るための重要な検査です。目をしょぼしょぼしたり、目を気にして引っかいたり、よく物にぶつかったり、お散歩に行きたがらなかったり、といった様子が見られるようであれば、目に問題が起きている可能性があります
目の異常は放置することで症状が悪化することがありますので、これらの兆候を見逃さず、眼科検査の実施を検討してください。

 

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