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犬と猫のニキビダニ症について|原因や症状、治療方法などを解説!

犬や猫の皮膚にかゆみを生じる病気はたくさんありますが、その1つにニキビダニ症(毛包虫症)があります。発症初期にきちんと診断され、適切な薬で治療できればそのまま治ることが多いのですが、皮膚の炎症が全身に及んでいる、誤った診断で治療薬が適切でない、細菌に二次感染しているなどがあると、全身の状態が悪化して生活の質(QOL)を大きく損なう原因になってしまいます

今回は犬や猫で発生するニキビダニ症について、原因や症状、診断・治療などを解説します。

症状

重症度によって程度の差はありますが、皮膚の炎症による赤み、かゆみ、脱毛、皮膚の表面の凹凸、皮膚の色素沈着、といった症状がみられます。さらに病変の広がりによって、軽度で限局性(部分的)のものと、重度で全身性のものに分けられます
症状が重度である、または治療がうまくいかず皮膚が弱ってしまうと、細菌(ブドウ球菌など)が二次感染を起こし、より強いかゆみを招くことがあります。

原因

ニキビダニ症は、皮膚の毛穴に寄生するニキビダニというダニの一種によって発症します。正常な免疫状態であれば問題ありませんが、何らかの原因で免疫のバランスが崩れてニキビダニが増殖してしまうと、皮膚の炎症が引き起こされてしまいます

犬ではホルモンの病気(副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症)、がん、免疫低下につながる薬(ステロイドなど)の投与、ストレスや飼育環境の不備などが関係すると考えられ、猫では猫免疫不全ウイルス、糖尿病、がん、ストレスや飼育環境の不備などが関係すると考えられています。

ちなみに犬と猫では寄生するニキビダニの種類が異なり、いずれも人にはうつらないといわれています。また、犬では多く発症しますが、猫ではまれです

診断

皮膚のかゆみを伴う病気は多種多様なため、正確な診断を下すことがとても重要です。ニキビダニ症の診断には、皮膚掻爬試験(皮膚を引っかいて顕微鏡で観察する検査)や抜毛試験(毛を抜いて顕微鏡で観察する検査)、セロハンテープ試験(セロハンテープを皮膚に押し当てて顕微鏡で観察する検査)などを行います。
ただし、正常な皮膚でも少数のニキビダニは存在するため、その判断は慎重に行う必要があります。また、他の皮膚病の可能性を除外するとともに、持病の有無を確認するために追加の検査を実施することもあります。

治療

基本的には駆虫薬によって治療します。以前まではイベルメクチンなどの注射薬が使用されていましたが、最近では、ノミ・ダニを駆除するアフォキソラネル(ネクスガード)という飲み薬が登場し、これはニキビダニ症にも効くことが分かっています。飲み薬の方が副作用は少なく、飼い主様がご自宅で簡単に与えることができるメリットがあります。

皮膚の状態が悪化している場合は、シャンプーなどのスキンケアを実施することもあります。また、持病がある、もしくは細菌感染が疑われる場合には、それぞれに対する治療も並行して行う必要があります。

病変が局所的であれば比較的早く治ることが多いものの、全身性に症状が現れていたり他の病気が合わさっていたりするケースでは、長期にわたって治療を続ける必要があることもあります。

予防法

ニキビダニ症は免疫機能が正常に働いていれば発症しないため、持病の有無をあらかじめ知っておくだけでなく、ストレスをかけないような飼育環境を提供することも予防につながります。愛犬や愛猫に適した健康的な食事や十分な水分の確保、定期的な運動、清潔な生活環境、日ごろのコミュニケーションなどを行いストレスが溜まらないようにしましょう。

まとめ

皮膚のかゆみは様々な原因で引き起こされます。また、ニキビダニ症には背景に持病が隠れている可能性もあります。ご家庭の犬や猫にかゆがっている様子がみられたら、早めに動物病院を受診し、まずはその原因を特定するようにしましょう。

 

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■秋でもノミやマダニには気をつけましょう!
秋になると暑さも落ち着き、犬や猫を連れてお散歩やレジャーにお出かけする機会も増えるでしょう。その際はノミやマダニにご注意ください!一般的にノミやダニは夏に活動的なイメージがありますが、春から秋にかけて、あるいは冬でも被害があるため、ノミ・マダニ予防をしっかり行うようにしましょう!
ノミやマダニについてはこちらでも詳しく解説しています

※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。

 

<参考文献>
Diagnosis and treatment of demodicosis in dogs and cats – Mueller – 2020 – Veterinary Dermatology – Wiley Online Library