避妊だけじゃない!腹腔鏡が活躍する犬や猫の手術とは?|異物摘出や臓器の検査にも対応
これまでの記事で、犬や猫における「腹腔鏡(ふくくうきょう)」とはどういったものかを、簡単にご紹介しました。
一般的には、避妊手術の際に使われることが多い腹腔鏡ですが、実はそれだけではありません。さまざまな手術や検査に活用できる方法として、近年注目を集めています。
そこで今回は、腹腔鏡がどのような場面で活躍しているのか、具体的な手術や検査の例をご紹介します。
あわせて、腹腔鏡を使うことでどのようなメリットがあるのかについても、わかりやすくご説明いたします。
目次
腹腔鏡が活躍する手術や検査の具体例
腹腔鏡は避妊手術だけでなく、実際にはさまざまな手術や検査にも活用されています。ここでは、犬や猫で腹腔鏡が役立つ主なケースをご紹介します。
◆肝臓や腎臓の生検(組織検査)
肝臓や腎臓の組織を少しだけ採取し、病気の有無を調べることがあります。
腹腔鏡を使うことで開腹せずに検査ができ、回復も早くなる傾向があります。
◆膀胱結石の確認・摘出
膀胱に結石ができると、尿道につまってしまったり、膀胱を傷つけてしまったりする恐れがあります。
腹腔鏡によって結石の状態を確認し、そのまま取り除くことも可能です。
◆精巣(潜在精巣)の摘出
「潜在精巣(せんざいせいそう)」とは、通常なら陰嚢に降りてくるはずの精巣が、おなかの中にとどまってしまう状態を指します。このままにしておくと腫瘍化するリスクが高いため、早めの摘出がすすめられます。
腹腔鏡を使えば、おなかの中にある精巣も、より安全に取り出すことができます。
◆胆嚢の摘出
胆嚢は、肝臓の近くにある消化液(胆汁)をためる臓器です。犬ではまれに「胆嚢粘液嚢腫」という病気が起こることがあり、胆嚢の中にゼリー状の粘液がたまってしまう状態になります。
これを放置すると胆嚢が破裂し、命に関わる可能性もあるため、状況によっては胆嚢を摘出する「胆嚢摘出手術」がすすめられることもあります。
腹腔鏡を使えば、体への負担を抑えつつ胆嚢を丁寧に摘出することができ、術後の回復もスムーズです。
◆副腎の摘出
副腎とは、腎臓の近くにあるホルモンを分泌する小さな臓器です。まれに副腎に腫瘍ができ、ホルモンの異常分泌によって体調に影響を与えることがあります。
こうした場合、腫瘍が小さく周囲との癒着が少ないときには、腹腔鏡を使って副腎を摘出できるケースもあります。
特に体への負担を最小限にしたい小型犬やシニアの動物では、有効な選択肢となることがあります。
腹腔鏡を使うことで得られるメリットとは?
ここまでご紹介したように、腹腔鏡はさまざまな手術や検査で活用されています。
では、腹腔鏡を用いることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?
主に、以下のような点が挙げられます。
◆傷口が小さい
腹腔鏡では、おなかを大きく切る必要がないため、傷口がとても小さくて済みます。
◆体への負担が少ない
小さな傷で手術を行えるため出血や痛みが少なく、体への負担も軽減されます。シニアの犬や猫にも検討しやすい方法です。
◆術後の回復が早い
体への負担が少ない分、術後の回復も比較的早い傾向があります。元気に歩き回れるようになるまでの時間が短く、ご自宅でのケアもスムーズです。
◆カメラで広い視野を確保できる
腹腔鏡には小型のカメラがついており、おなかの中をモニターで大きく映し出すことができます。手術部位を確認しながら、正確な処置を行うことが可能です。
◆小さな血管や病変も見逃しにくい
拡大された映像を通して、小さな血管やわずかな病変も見つけやすくなります。そのため、より丁寧で慎重な対応ができるのも腹腔鏡の大きな特長です。
まとめ|「治療の幅が広がる」腹腔鏡という選択
今回ご紹介したように、腹腔鏡は避妊手術だけに限らず、さまざまな検査や処置にも活用されている、非常に優れた医療技術です。
開腹手術と比べて傷口が小さく、体への負担も少ないため、手術によるダメージが心配な飼い主様にとっては、大きな安心につながる選択肢といえるでしょう。
また、ダイゴペットクリニックでは、腹腔鏡専用の器具を取りそろえ、知識と経験が豊富な獣医師が手術・検査に対応しています。今回ご紹介したようなケースにも対応しており、これまでにも多くの飼い主様にご相談いただいています。
「腹腔鏡ってどんなときに使えるの?」「うちの子でも受けられるのかな?」といった疑問やご不安がある場合は、どうぞお気軽に当院の獣医師までお声がけください。
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