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犬の鼻腔内腫瘍について|鼻水や鼻血、もしかして鼻腔内腫瘍?

鼻腔内腫瘍は鼻の中にできる腫瘍で、ある程度大きくならないと家庭で見つけるのは難しい病気です。愛犬に鼻水や鼻血が見られることもありますが、これらの症状は他の病気でも現れるため、動物病院で詳しい検査を受けることが重要です。
腫瘍が大きくなると息苦しくなってしまうだけでなく、顔や鼻の形が変わってしまう危険性もあります。

今回は犬の鼻腔内腫瘍について、症状や治療方法などを詳しく解説します。

鼻腔内腫瘍とは?

鼻腔内腫瘍は鼻の中にできる腫瘍のことで、そのほとんどが悪性腫瘍(がん)とされています。
発生率は全腫瘍の約1%程度で、比較的発生率は低い腫瘍ですが、発見しにくい部位で発生するため、早期発見早期治療が難しい疾患と言えます。
犬の鼻腔内腫瘍のうち多く発生するのは腺癌で、猫で多いリンパ腫は犬ではまれとされています。

 

原因

詳しい原因はまだ明らかになっていませんが、中高齢の中型犬や大型犬でよく見られます。また、環境中のタバコの煙が発症リスクに関連するという意見もあります。

鼻腔内腫瘍で多く見られる種類としては、腺癌扁平上皮癌が挙げられます。また、線維肉腫や骨肉腫などが発生する場合もあります。

 

症状

腫瘍が小さいうちには明らかな症状が現れないことも多いですが、だんだん大きくなるにつれて、以下のような症状がみられるようになります。

鼻水(血混じりや膿のようなもの)
鼻血
くしゃみ
いびき
呼吸困難

さらに、腫瘍がかなり大きくなると、骨を圧迫して顔が変形したり、眼球を圧迫して目が飛び出たりする場合もあります。

 

診断

鼻腔内腫瘍の診断には画像検査が重要です。まずはレントゲン検査を実施し、鼻腔内腫瘍が疑われる場合にはさらに詳細なCT検査を検討します。あわせて、内視鏡検査で鼻の中を調べる場合もあります。

症状と画像検査に基づいて暫定的な診断は可能ですが、確定診断を下すためには、腫瘍の組織を病理検査で詳しく調べる必要があります。

 

治療

腫瘍が大きくなって鼻の穴を塞いでしまうなど、生活の質が低下する可能性がある場合には、手術による治療を第一に検討します。手術方法には、背側鼻骨切開鼻甲介切除といった選択肢があります。

一方で、腫瘍が鼻腔の奥深くに位置していて手術でアプローチできない場合や、術後の再発を防ぐためには、放射線治療を行うこともあります。
鼻腔内腫瘍は放射線治療によく反応するとされていますが、放射線障害が発生する可能性もあるため、使用する際には慎重に判断します。

放射線治療についてはこちらで解説しています

 

予後

鼻腔内腫瘍の犬では無治療の場合、生存期間の中央値は約100日とされています。治療を行った場合には平均して3〜6カ月ほど生存期間が延びると報告されています。
ただし、腫瘍が片側だけにあるのか両側にも広がっているのか、また骨の破壊を伴っているかどうかなど、さまざまな要因によって生存期間は異なります。

 

まとめ

鼻腔内腫瘍は、中高齢の中型から大型犬に多く見られる腫瘍です。鼻水や鼻血といった症状が腫瘍によるものである場合もありますので、これらの症状が長引くようであれば、早めに動物病院を受診することが大切です。

 

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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。

 

<参考文献>
Richard G.Harvey, Gert ter Haar.  犬と猫の耳鼻咽喉疾患. 嶋田照雅 監訳. 2020. 緑書房.