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犬の眼瞼腫瘍について|まぶたにできた小さな膨らみ、これって大丈夫?

犬のまぶたに小さな膨らみができているのを見つけたことはありませんか?その膨らみは「眼瞼腫瘍」の可能性があります。
ほとんどの場合、良性で命に関わることは少ないですが、放っておくと目に違和感を与えたり、涙やけや目の痛みを引き起こしたりすることがありますので、早めの対処が必要です。

今回は犬に発生する眼瞼腫瘍の種類や症状、そして治療法について詳しく解説します。

眼瞼腫瘍とは?

眼瞼腫瘍(がんけんしゅよう)は、犬のまぶたにできる腫瘍のことを指します。特に犬では、中高齢(8歳以上)になるとこの腫瘍が見られることが多く、全体の約70%は良性腫瘍であり、残りの約30%は悪性腫瘍であると報告されています。
ここでは、代表的な腫瘍について詳しくご紹介します。

<良性腫瘍>

・マイボーム腺腫
まぶたには、涙の成分を分泌する「マイボーム腺」と呼ばれる腺が上下にあります。この腺から発生する良性の腫瘍がマイボーム腺腫で、犬の眼瞼腫瘍の中でも最も一般的です。
通常、腫瘍はゆっくりと成長し、他の組織に広がることはほとんどありません。しかし、腫瘍が大きくなると、眼球に刺激を与えたり、角膜に傷がついてしまうことがあります。

・乳頭腫
乳頭腫は、ウイルスによって引き起こされる良性の腫瘍で、まぶたの他にも皮膚や粘膜にできることがあります。
外見は、カリフラワーのように見えることが多いのが特徴です。自然に消える場合もありますが、必要に応じて外科的に摘出することもあります。

 

<悪性腫瘍>

・マイボーム腺癌
マイボーム腺癌は、マイボーム腺から発生する悪性の腫瘍です。良性のマイボーム腺腫とは異なり、周囲の組織に広がったり、転移したりする可能性があります。
進行が早いこともあり、放っておくと視力に影響を与えることがあるため、早めの発見と治療が非常に重要です。

・悪性黒色腫(メラノーマ)
悪性黒色腫は、メラニン色素を含む細胞が悪性化してできる腫瘍で、まぶたにも発生します。この腫瘍は非常に悪性度が高く、他の組織に転移しやすいことが特徴です。早期に見つかれば外科的に切除することが可能ですが、進行している場合は追加の治療が必要になることもあります。

 

原因

詳しい原因はまだ明らかになっていませんが、特に中高齢の犬でよく見られる傾向があります。

 

症状

まぶたにしこりができることで、目に関連した症状が現れることがあります。たとえば、目を気にして擦る、涙が増える、目が赤くなるといった様子が見られることが多いです。
また、これらの症状が続くと、角膜炎や結膜炎、さらには涙やけを引き起こす可能性もあります。

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診断

しこりの大きさや場所だけでなく、目自体に異常がないかどうかも確認します。そのため、必要に応じて眼科検査を併用することがあります。また、しこりが腫瘍ではなくチェリーアイの可能性も考えられるため、慎重に見極める必要があります。

さらに、しこりが良性か悪性かを判断するために、細胞診や組織生検を行うことがあります。

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眼科検査について
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治療

基本的には、手術でしこりを取り除く治療が行われます。
しこりの大きさや場所によって切除方法が異なり、小さい場合はV字型に、大きい場合はホームベース型に切り取ります。また、必要に応じて凍結療法を併用することもあります。
取り除いたしこりは病理検査に出して、良性か悪性かをしっかりと確認します。

術後には、抗生物質や痛み止めが投与されることがあり、傷口に触らないようにするためのエリザベスカラーを使用することもあります。

 

予防法やご家庭での注意点

残念ながら、眼瞼腫瘍を完全に予防する方法はありません
しかし、ご家庭で愛犬の目の健康に注意を払うことで、早期発見が可能です。たとえば、涙の量が増えていないか、涙やけが見られないかなどを日常的にチェックすることが大切です。

また、定期的な眼科検診を受けることで、腫瘍や他の目の異常を早期に発見することができ、治療が必要な場合でも迅速に対応できます。
愛犬が目を気にしている様子や、まぶたに膨らみがある場合は、できるだけ早く動物病院で診てもらいましょう。

 

まとめ

眼瞼腫瘍は、犬のまぶたにできる腫瘍の一種です。
多くの場合、良性であるため全身への影響は少ないですが、目に違和感があると愛犬の生活の質(QOL)が低下してしまうことがあります。
早めに手術で取り除くことで、愛犬が快適に過ごせるようになるため、気になる症状があれば早めに動物病院で相談しましょう。

 

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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。

 

<参考文献>
Krehbiel JD, Langham RF. Eyelid neoplasms of dogs. Am J Vet Res. 1975 Jan;36(1):115-9.