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見逃しがちな皮膚型リンパ腫に注意|皮膚病との違いと早期治療の必要性

皮膚型リンパ腫は、一般的な腫瘍とは異なる症状が出る、少し珍しいタイプの病気です。そのため、膿皮症やアレルギー性皮膚炎などの皮膚病と間違えられることがありますが、これらの病気とは治療法が異なります。だからこそ、正確な診断がとても重要になります。

この病気は、他のリンパ腫と比べて発生頻度が低いものの、皮膚に赤みやかゆみ、炎症などの変化を引き起こします。初期の症状が一般的な皮膚病に似ているため、発見や治療の開始が遅れることも少なくありません。

以前の記事では、犬のリンパ腫という病気についてお話ししました。その中で、一番多いのは「多中心型」と呼ばれるタイプだとご説明しましたが、今回はちょっと珍しい「皮膚型リンパ腫」というタイプについて解説します。

犬のリンパ腫の記事はこちらから

皮膚型リンパ腫とは?

リンパ腫には多中心型、消化器型、縦隔型などいくつかのタイプがありますが、皮膚型リンパ腫もその一つです。
以前の記事でお話しした「多中心型リンパ腫」は、リンパ節を中心に腫瘍が広がる最も一般的なタイプでした。一方で、「皮膚型リンパ腫」はその名の通り、皮膚に病変が現れるのが特徴です。

この病気の特徴的な点は、初期は他の皮膚腫瘍のようにイボ状のしこりにはならず、皮膚炎のような見た目になることです。
そのため、腫瘍だとは気づかれにくく、発見や診断に時間がかかることもあります。
早期発見がとても大切なので、皮膚の異変に気づいたらすぐに獣医師に相談することをおすすめします。

 

主な症状と特徴

皮膚型リンパ腫の初期症状は、皮膚の赤みやかゆみ、フケなど、よくある皮膚病と似た症状から始まります。これらの変化は特に、顔や首、手足、おなかなどに見られることが多いです。この段階を紅斑期と呼びます。ここから段階的に進行すると、局面期、腫瘍期へと変わっていきます。
進行すると次のような症状が現れることがあります。

皮膚に潰瘍ができて出血する
皮膚が隆起してくる
元気や食欲がなくなる
リンパ節が腫れる

皮膚型リンパ腫は、膿皮症やアレルギー性皮膚炎と症状が似ていますが、次の点で違いがあります。

炎症を抑える薬や抗菌薬では根治しない
リンパ節にも影響を及ぼす

このような特徴があるため、早めの診断と適切な治療が重要です。

膿皮症についてはこちらから
アレルギー性皮膚炎についてはこちらから

 

診断

皮膚型リンパ腫は、正確な診断がとても重要な病気です。初期の症状だけでは、一般的な皮膚病と区別が難しいため、皮膚の検査を丁寧に行います。
まず、以下のような検査を実施します。

皮膚掻爬検査抜毛検査
アレルギー検査(アレルギー性皮膚炎が疑われる場合)

これらの検査でも原因が特定できなかったり、治療が思うように進まなかったりする場合には、皮膚の細胞や組織を採取して顕微鏡で詳しく調べる皮膚の細胞診生検を行います。これにより、皮膚型リンパ腫の診断が可能になります。

 

治療

皮膚型リンパ腫の治療では、主に化学療法(抗がん剤治療)が中心となり、症状の改善が期待されることが多いです。
なお、以下の内容はあくまで一例で、効果や副作用の現れ方は症例によって異なります。

・CCNU(ロムスチン)
CCNUは、がん細胞のDNAにダメージを与えることで、細胞の増殖を抑える効果が期待されます。経口投与が可能なため、通院回数を減らせるメリットがある一方で、消化器症状や血液検査での数値変動などの副作用が見られる場合があるため、定期的な検査が必要です。

・プレドニゾロン(ステロイド)
プレドニゾロンは、炎症の抑制や免疫の働きを調整する効果が期待されるステロイド薬です。化学療法と併用することで、症状の緩和や全身状態の改善が期待でき、治療効果を補助する目的で使用されます。

・CHOPプロトコール(多剤併用療法)
CHOPプロトコールは、複数の薬剤を組み合わせる治療法です。各薬剤が互いに補完し合いながらがん細胞に多角的に働きかけるため、単一の薬剤では得られにくい効果が期待できます。ただし、副作用のリスクもあるため、定期的な検査や経過観察が重要です。

治療を進める際には、症状の変化や副作用の有無を定期的にチェックし、必要に応じて薬剤の変更や投与量の調整が行われます。
また、化学療法に加えてステロイドを補助的に使用することで、さらなる症状の緩和や治療効果の向上が期待される場合もあります。

治療方法は愛犬の状態や病気の進行度によって異なるため、獣医師と十分に相談しながら進めることが大切です。

抗がん剤治療についてはこちらから

 

予防法やご家庭での注意点

皮膚型リンパ腫は、はっきりとした予防法がない病気です。そのため、早期発見が何よりも重要です。愛犬の皮膚に赤みやかゆみなどの異変が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

また、皮膚病と診断されて治療を続けているにもかかわらず、症状がなかなか改善しない場合には、皮膚型リンパ腫の可能性も考えられます。このようなときは、セカンドオピニオンを活用して、より詳しい検査を受けることをおすすめします。

 

まとめ

皮膚型リンパ腫は、見た目が皮膚病に似ていますが、実際には悪性腫瘍(がん)の一種です。この病気は、発見が遅れると進行しやすいため、早期発見と早期治療が何よりも大切です。
ご家庭での皮膚のケアとともに、定期的に動物病院で皮膚の状態をチェックすることで、正確な診断につなげましょう。

当院では腫瘍科の特別診療を行っておりますので、気になることがあればどうぞお気軽にご相談ください。

 

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