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DAIGO PET CLINIC

「ペットの痛みにどう気づく?」サインの見分け方&犬・猫の緩和ケアとは

犬や猫は「痛い」と言葉で伝えることができないため、飼い主様が行動や表情の変化からサインを読み取ることが大切です。早期に気づくことができれば、治療やケアにつなげやすくなります。

ただし、犬や猫は本能的に痛みを隠す傾向があり、気づいたときには症状が進んでいることも少なくありません。だからこそ、小さな変化を見逃さない「見分け方」を知っておくことが重要です。

本記事では、犬や猫が見せる痛みのサインや、飼い主様が知っておきたい緩和ケアの基礎知識についてご紹介します。

ペットの痛み、気づけていますか?

犬や猫は本能的に痛みや弱っていることを隠しがちです。なぜなら、自然界で弱さを見せると外敵に狙われやすいからです。そのため、実際に痛みを感じていても、普段と変わらず元気に見えるように振る舞うことがあります。

動物医療の現場では、「行動や表情のわずかな変化が、痛みのサインである」という認識が基本です。たとえば、動きがゆっくりになる、寝ている時間が増える、触れられるのを嫌がるなど、日常の何気ない変化が痛みを示していることがあります。

飼い主様がこうしたペットたちの抱えている痛みにいち早く気がついてあげることで、早期診断や適切な治療につながり、犬や猫の負担を大きく減らせます。

 

犬や猫の痛みサインの見分け方

犬や猫が痛みを感じているときにはどのようなサインがあるのでしょうか。
大きく分けて、「行動」と「表情・姿勢」の変化に表れます。

<痛みなどによる行動の変化>
・食欲が低下する、または食べ方に変化がある(食べるのが遅い、途中でやめる)
・呼吸が浅く、早くなる
・動こうとしない、散歩を嫌がる
・撫でられるのを嫌がる、触られると逃げる
・隠れて過ごす時間が増える

<痛みなどによる表情・姿勢の変化>
・目を細めている、まばたきが増える、視線をそらす
・耳が後ろに倒れている、顔全体がこわばっている
・体を丸めてじっとしている、背中を丸めてうずくまる
・足をかばうように歩く、片足を上げたままにする
・尾の位置が下がる、尾を巻き込むようにしている

こうした「ささいな違和感」こそが痛みのサインです。普段との違いに気づいてあげることが早期治療に繋がります。

 

治療か緩和か、その子に合わせた選択肢

犬や猫に痛みがある場合、「治療」と「緩和ケア」という2つの選択肢があります。

治療は、病気の根治を目指す方法で、手術や高度医療、専門的な検査などをおこないます。若齢の子や体力がある子には、積極的に検討されることが多いです。

一方で、緩和ケアは、生活の質(QOL)を重視するアプローチです。完治が難しい場合でも、痛みや不安を軽減し、できる限り快適に過ごせるようサポートします。
シニアや重症の動物に対しておこなう医療を「終末期動物医療」と呼ぶこともあります。

ここで大切なのは、「緩和ケア=諦め」ではないということです。その子がその子らしく穏やかに過ごすための、前向きで積極的な医療のひとつとしてご理解いただければと思います。

 

犬や猫の緩和ケアでできること

緩和ケアでは、痛みや不快感を和らげるために以下のような方法を多角的に組み合わせます。

疼痛コントロール(痛みの緩和)
痛みの種類や程度に合わせ、複数の鎮痛方法を組み合わせて負担の少ないコントロールを行います。

オピオイド系鎮痛薬(ブプレノルフィンなど):中等度〜強い痛みに使用
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):炎症を伴う痛みに広く使用
神経障害性疼痛の治療薬(ガバペンチンなど):神経の痛みに対応

物理療法・リハビリテーション
薬物療法と併用しながら、身体機能の維持や生活のしやすさをサポートします。

低出力レーザー治療(LLLT):痛みや炎症の軽減、創傷治癒の促進
トレッドミル運動:無理のない運動で筋力・関節可動域を維持
マッサージ・ストレッチ:筋緊張をほぐし血行を促進

生活の質を守るためのケア
痛みの緩和だけでなく、毎日の暮らしを通じて動物が安心して過ごせるように環境を整えることも緩和ケアの重要な役割です。

生活環境の調整:滑りにくい床材の使用、段差の解消、体圧分散マットの使用、室温・湿度管理
精神的サポート:ご家族とのふれあいや安心できる休息環境づくりを大切にし、不安やストレスを軽減

 

<犬・猫が腫瘍(がん)になったときの緩和ケア>
腫瘍(がん)は、犬や猫にとっても負担の大きい病気のひとつです。痛みや不快感、食欲不振、体力の低下など、日常生活にさまざまな影響が出ることがあります。

こうした状態に対しては、その子の体調やステージに合わせて無理のないサポートをおこなうことが、緩和ケアの基本です。

緩和的治療の選択肢としては、副作用を抑えた「メトロノミック療法」や、他の治療と併用できる「高濃度ビタミンC療法」など、その子の状態に合わせて検討可能な方法をご用意しています。

当院では、腫瘍に特化した「腫瘍科」の診療をおこなっており、ダイゴペットクリニック豊田中央医療センターには、腫瘍アドバイザーの助言のもと、さまざまな治療を提案可能です。

犬と猫の抗がん剤治療についてはこちらで解説しています
放射線治療についてはこちらで解説しています

 

動物病院におけるセカンドオピニオンや包括診療の強み

現在の治療方針に不安がある場合や、他の選択肢を検討したい飼い主様のため、当院ではセカンドオピニオンにも対応しています。

また、日常的な健康管理を担うプライマリケア(初期診療)から、専門的な検査・治療を行う高度医療、症状とうまく付き合いながら生活の質を守る緩和ケアまで、グループ院内で一貫して提供できる包括的な診療体制を整えています。

急性期から慢性期、そして日常的な健康管理まで幅広く対応できることが、「治す医療」と「寄り添う医療」の両立を可能にしている当院の強みです。
動物の状態やご家族のご希望を踏まえた最適な治療方針をご提案します。

 

まとめ

犬や猫の痛みのサインは小さく見逃されやすいことがあります。当院はかかりつけ医として継続的に診ることで体調の変化を早期に捉え、無理のない医療へつなげることを大切にしています。ご家族と同じ視点に立ち、健康を支える“よきパートナー”でありたいと考えています。

ダイゴペットクリニックは、高度医療から緩和ケアまで幅広く対応し、チーム医療でその子に合った選択肢をご提案します。治療に迷ったときや不安があるときも、お気軽にご相談ください。

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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。