犬や猫の注意すべき誤飲誤食について
犬や猫の誤飲誤食は、動物病院では頻繁に遭遇する事例です。
おもちゃや石などの異物を飲み込んでしまうと、腸の中で詰まってしまい(閉塞)、下痢や嘔吐がみられることがあります。
また、飼い主さんの食べ物を盗み食いして、中毒を引き起こすこともあります。いずれにしても、場合によっては命に関わるので、緊急の対応が必要です。
今回は、誤飲誤食による中毒に焦点を当てて、注意すべき点を解説します。
目次
動物が食べてはいけない食べ物と注意事項
・チョコレート:カカオに含まれる苦み成分(テオブロミン)が原因で、下痢や嘔吐、興奮といった症状がみられます。
犬の50%致死量(LD50:50%の動物が死んでしまう量)は、文献によっても異なりますが、体重1kgあたりテオブロミン100~200 mg、あるいは250~500 mgといわれています(猫では80~150、あるいは200 mg)。
チョコレートの種類によってテオブロミンの含有量は様々ですが、ミルクチョコレートを体重5kgの犬が食べたとすると、少なく見積もって200 gが50%致死量です。ただし、実際に中毒症状が現れるのは体重1kgあたりテオブロミン20 mgともいわれているため、40 g(板1枚の7割程度)でも危険です。また、カカオの含有量が多いほどテオブロミンも多いので、高カカオのチョコレートではもっと注意が必要です。
・ネギ類:ネギ、タマネギ、ニンニクに含まれる有機化合物が原因で、赤血球が破壊されて貧血を引き起こします(溶血性貧血)。
加熱したものや煮汁でも食べさせてはいけません。
犬では体重1kgあたり15~30 g、猫では5gのタマネギを食べると中毒を招くことが報告されています。
・ガム:ガムに含まれるキシリトールが原因で、低血糖状態になって、ふらつきや脱力といった症状がみられます。
犬で中毒を起こす量は体重1kgあたり100mgといわれていますが、猫では同じ量でも症状がみられないと報告されています。
一般的なキシリトールガムには1粒あたり600mg程度のキシリトールが含まれているため、5kgの犬では1粒でも危険な量です。
・お茶、コーヒー、エナジードリンク:お茶などに含まれるカフェインにより、チョコレート中毒と同じような症状を示します。
犬の50%致死量は、体重1kgあたりカフェイン100~200mg、あるいは140 mgといわれています。
特に乾燥茶葉やインスタントコーヒーなど、1gあたりに含まれるカフェインが多い食品では、少ない量でも発症してしまうため注意が必要です。
・ぶどう:原因はよくわかっていませんが、嘔吐や下痢がみられ、腎不全に至ることもあります。
犬では体重1kgあたりぶどう32 g、レーズン11~30 gで中毒症状を引き起こす可能性があります。
・その他:マカダミアナッツ(犬)やアボカド(犬や猫)も中毒を引き起こすことが知られています。
まとめ
これらの食べ物を動物が誤飲誤食してしまった場合には、すぐに動物病院を受診してください。
その際には、何をどれくらい食べたのか、食べてから何時間経過したのかなど、わかる範囲でお伝えいただけますと、診断や治療に役立ちます。
また、犬や猫が誤飲誤食する可能性のある食べ物は、手の届かないところ(密閉容器や高所の棚の中など)にしまい、事故を防ぐことも重要です。
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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。