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犬と猫の緑内障について|早期発見で失明リスクを下げる

緑内障は、眼圧の上昇によって目の機能に影響を及ぼす病気です。目に痛みや違和感を覚えるだけでなく、進行すると視力が失われてしまうため、早期発見と早期治療が重要になります。
また、緑内障の治療は眼圧を下げることが第一で、眼圧の変化を定期的にチェックしながら、点眼による治療を続ける必要があります。

今回は犬と猫の緑内障について、原因や症状、診断、治療法などを解説します。

緑内障とは?

緑内障は、眼房水(眼球の中にある水)がうまく排泄されずに溜まってしまい、眼圧(眼球の中の圧力)が上昇することで発症する病気です。特に犬に多く見られ、猫では比較的少ないとされています。

 

原因

緑内障は、その発症機序によって以下のように分類されます。

<原発緑内障>
先天性(生まれつき)の要因によって起こり、さらに開放型(閉塞隅角緑内障)と閉鎖型(閉塞隅角緑内障)に分けられます。犬では柴犬、シー・ズー、ビーグルやコッカー・スパニエルといった犬種、猫ではシャムなどの猫種に多く見られることが知られています。
両目に発生することが多く、若い時期から中年期にかけて発症します。犬では原発緑内障が多く、そのほとんどが閉鎖型です。

 

<続発性緑内障>
ぶどう膜炎、腫瘍、目の出血など、他の病気の影響で引き起こされます。猫ではほとんどが続発性です。

 

症状

緑内障は急に発症することもあれば、ゆっくりと徐々に進行することもあります。

<急性緑内障>
急性緑内障は突然発症し、目に痛みや不快感を覚えて気分が悪くなり、元気や食欲が低下したり、嘔吐したりすることがあります。
また視力が急に低下するため、壁や物にぶつかったり、つまずいたりすることもあります。

 

<慢性緑内障>
慢性緑内障は時間をかけてゆっくり進行するため、初期段階では症状がわかりにくく、普段通りの生活を送れていることがほとんどです。
しかし、病状が進行すると、目の腫れや充血が見られるようになり、最終的には視力を失ってしまいます

 

診断

緑内障の診断には眼科検査が不可欠です。検査の詳細については以前の記事で詳しく解説しているので、そちらも参考にしてください。
その中でも特に眼圧検査が重要になります。眼圧の測定によって、緑内障の早期発見と適切な治療が可能となります。

眼科検査についてはこちらで解説しています

 

治療

緑内障を治療するためには、まず眼圧を下げることが必要です。主な治療法としては点眼薬があり、炭酸脱水酵素阻害剤、ベータ遮断薬、コリン作動薬、プロスタグランジン製剤などが選択肢として挙げられます。また、痛みを抑えるために抗炎症剤の投与も行われます。

眼圧を下げる緊急治療としてマンニトール注射液を静脈点滴で投与することもあります。それ以外にも、合併している眼の疾患にあわせて追加の治療を実施することがあります。

緑内障が進行していて失明している場合や、点眼薬による治療がうまくいかない場合、あるいは目に腫瘍がある場合には、手術による治療も検討されます。
外科治療はその進行度と状態に応じて様々な方法が選ばれます。ここでは、代表的な治療方法を紹介します。

毛様体レーザー光凝固術
毛様体(房水を産生する部分)をレーザーで凝固させることで房水の産生を減少させ、眼内圧を下げます。これにより、目の痛みを軽減し、点眼薬の使用を減らすことや、目の形状の維持も期待できます。

ゲンタマイシン硝子体内注入術
眼内に薬を注入して毛様体を破壊し、房水の産生を減少させます。結果として眼内圧がコントロールされ、眼圧による痛みを和らげ、生活の質を向上させることを目指します。

眼球摘出術
痛みのコントロールや腫瘍が原因の緑内障の場合には、眼球摘出術が選択されることがあります。腫瘍が原因の場合には眼球の摘出と同時に腫瘍を摘出できるというメリットもあります。

シリコンインプラント挿入術(義眼)
眼球の形状を保つために眼内にシリコンボールを挿入する方法です。これにより、眼球を温存しつつ外見的な問題を最小限に抑えることができます。

 

予防法やご家庭での注意点

緑内障は予防が難しい病気ですが、早期発見と適切な対処が最悪の事態(失明)を避けることにつながります。
愛犬や愛猫が目を気にしている様子を見かけたら、まずは眼科検査にて眼圧を測定することをお勧めします。

 

まとめ

緑内障は、さまざまな原因で起こる目の病気です。異変に気づかずに進行してしまうと、失明する危険性があるので、早めの対処がポイントになります。
失明して手術が必要になると、愛犬や愛猫にとって大きな負担となりますが、点眼治療や眼圧検査は動物を傷つけることなく実施できますので、異変に気づいたらお早めに当院までご相談ください。

 

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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。

 

<参考文献>
Clinical Signs and Diagnosis of the Canine Primary Glaucomas – PMC (nih.gov)
Feline Glaucoma – A Comprehensive Review – PMC (nih.gov)