犬と猫の血液検査について|健康状態を調べるためには欠かせない
飼い主の皆様は、動物病院で行う検査というとどういったものを思い浮かべるでしょうか。
よくイメージされるのが、腕や脚に注射針を刺し、採血する姿かと思います。このような検査は血液検査といい、犬や猫の健康状態を調べるためには欠かせないものです。
今回は犬と猫の血液検査について、どんな検査で何を調べるために実施しているのか、検査時の注意点などをお伝えします。
目次
血液検査とは?
血液検査とは、動物の血管に注射針を刺し、採取した血液を機械にかけることで、血液中のさまざまな項目を調べる検査のことです。
血液そのものの状態だけでなく、フィラリア症(犬糸状虫症)、糖尿病、腎不全、甲状腺機能低下症や亢進症、クッシング症候群、ホルモンの異常、膵炎などの病気や、貧血、脱水、炎症などのさまざまな症状を発見するきっかけとなります。
また、血液検査に必要な血液の量は、特殊な検査が必要ではない限り、1〜3ミリリットル程度で非常に少量です。採血のために短時間押さえられる不快感は多少あるかもしれませんが、動物にとっては負担の少ない検査になります。
血液検査の方法
検査時には犬や猫が針を刺しても暴れないように保定をする必要があります。なお、検査前には動物の性格をお聞きし、怖がりの性格であれば飼い主様にご同席いただく場合もあります。
採血前には皮膚をアルコール綿で濡らすか、毛刈りをして、血管が見やすいようにします。一般的に、犬では橈側皮静脈(とうそくひじょうみゃく:腕の血管)や外側伏在静脈(がいそくふくざいじょうみゃく:脚の血管)、猫では橈側皮静脈や大腿静脈(だいたいじょうみゃく:太ももの血管)から採血します。
採血後は針を刺した部分に綿を当て、指で軽く押さえて止血します。
検査項目
血液検査にはさまざまな項目があります。
・CBC(血球を調べる検査):赤血球数、白血球数(リンパ球、好中球、好酸球、好塩基球、単球)、血小板数、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度、赤血球指数など
・血液生化学検査(ミネラルや内臓の状態を調べる検査):ミネラル(Na、K、Cl、P、Ca)、タンパク(TP、Alb、Glb)、肝臓の検査(ALT、AST、ALP、GGT、TCho、TBil、Glu、TG、TBA)、腎臓の検査(SDMA、BUN、Cre、シスタチンC)、膵臓の検査(Amy、Lip)、心臓の検査(BNP)など
・血液凝固検査(止血に関わる要素を調べる検査):ACT、PT、APTT、フィブリノーゲン、FDP、AT3、Dダイマー、TATなど
・血液ガス検査(血液中の酸とアルカリのバランスを調べる検査):pH、pCO2、HCO3-、AG、BEなど
・その他の検査:血液型検査、炎症性タンパク(CRP、SAA)、甲状腺ホルモン(tT4、fT4、TSH)、コルチゾール、糖化アルブミン、薬剤血中濃度など
注意事項
普段はおとなしい犬や猫でも、いざ診察台に上がると怖くなってしまい、攻撃的になって検査が中断される場合もあります。状況によっては、ご家族とご相談させていただいたうえで、鎮静剤などで落ち着かせてから採血するケースもあります。
検査時に動物が動いてしまうと、血液が皮下に漏れることで、採血した部分の皮膚が赤色や紫色になることもあります。ほとんどの場合は時間が経つにつれて徐々に元の色になるので、ご心配なさる必要はありません。
ただし、採血時に毎回出血が見られる場合は、凝固系の疾患が原因である可能性もありますので、注意が必要です。
まとめ
血液検査は、メスを入れることなく動物の健康状態を把握できる、とても便利な検査です。特に本院では検査センターが併設されているため、詳細な検査も可能です。具合が悪いときだけでなく、健康診断時にもぜひご利用をご検討ください。
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