犬と猫の舐め壊しについて|皮膚が傷ついて赤くなり、毛が抜けることも
犬や猫がストレスを感じると、その不安や緊張を和らげるために自分の皮膚を過剰に舐めることがあります。こうした状態は舐め壊しと呼ばれ、次第に皮膚が赤くなったり毛が抜けたりしてしまいます。
皮膚や毛の異常には、こうしたストレスだけでなく、細菌やカビなどの感染症、アレルギー、ホルモンの病気など、多種多様な病気が関わっている可能性があるため、しっかりと検査をして原因を突き止めることが重要です。
今回は犬と猫の舐め壊しについて、基本的な情報とともに対策の具体例をお伝えします。
目次
舐め壊しとは?
舐め壊しとは、犬や猫が自分の皮膚(特に口が届きやすい手足の先)を舐めすぎることで起こる皮膚の病気で、舐性皮膚炎(しせいひふえん)とも呼ばれます。
動物(特に猫)の舌は私たち人間よりもざらざらとしているため、長く舐め続けていると皮膚が傷ついて赤くなり、毛が抜けることもあります。
こうした状態が続くと、皮膚から血が出たり傷口から細菌が侵入したりする危険性もあります。
舐め壊しが起こる理由
舐め壊しは、主に犬や猫がストレスを感じることで起こると考えられています。ストレスの元はさまざまですが、特に気をつけなければいけないのがご家庭でのストレスです。
飼育環境の不備や運動不足が関わっていることが多く、ご家庭での対策が治療につながります。
それ以外にも、もともと皮膚の病気(アレルギー性皮膚炎、膿皮症、マラセチア、疥癬など)をもっていて、かゆみを感じるところを舐めている場合もあります。
そのため、舐め壊しが飼育環境中のストレスから生じているのか、もしくは皮膚の病気が隠れているのか、あるいはまったく別の病気(ホルモンの病気など)によって脱毛などが引き起こされているのか、といったことを動物病院で詳しく調べる必要があります。
舐め壊しの対策
ストレスによって舐め壊しが起こっているケースでは、飼育環境を改善する必要があります。具体的な対策の例は以下の通りです。
・寝床の環境改善:寝床を人通りの少ない静かな場所に移動させ、外界から遮断できるようクレートの外側を毛布で覆うなどして、安心できる環境をつくることも効果的です。
・新しく犬・猫がやってきた:互いに慣れるまで、なるべく別々の部屋で過ごさせることが望ましいです。
・トイレ環境の改善:特に猫においては、トイレの砂の種類や清潔さがストレスの原因となることがあります。砂の種類を変えたり、トイレの個数や設置場所を見直したりすることで、改善が期待できます。
・運動不足の解消:犬は毎日の散歩を、猫は室内での運動ができるようにキャットタワーの設置などを検討します。
・歩行環境の改善:フローリングの滑りやすさが問題であれば、滑り止めのマットを敷くことで安全に歩行できるようにします。
まとめ
舐め壊しは、飼い主様にとっては気がかりな症状ですが、その背景にはさまざまな原因が考えられます。
今回挙げた対策が必ずしもすべての動物に当てはまるわけではありませんが、飼育環境を見直し、動物が感じるストレスを軽減することで、改善につながることもあります。
舐め壊しの症状が見られた場合は、早めに獣医師に相談することをお勧めします。
■当院の皮膚科に関連する病気はこちらで解説しています。
・犬の疥癬について|激しいかゆみの原因はダニかも?
・犬と猫の皮膚糸状菌症について|人にも感染する病気
・犬と猫の食物アレルギーについて|かゆがる、下痢などは食物アレルギーかも?
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狂犬病ワクチン、フィラリア予防についてはこちらのページでも解説しています
・犬のフィラリア症について|毎年、確実に予防することで命を守れます
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