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犬と猫の脱毛について|脱毛は病気のサインかも?

犬や猫に多いトラブルの1つに、脱毛が挙げられます。換毛期に全体的に毛が抜けることは病気ではありませんが、肌が見えるほど重度に抜ける場合や、かゆみや赤みを伴う場合には、何らかの病気が隠れている可能性があります

正確な原因を突き止め、効果的な治療法を見つけるためには、動物病院での専門的な検査が不可欠です。動物の皮膚や毛の状態は、その健康状態を映し出す鏡のようなもの。慎重な診察と適切な検査を通じて原因を特定し、最適な治療計画を立てることが大切です。

今回は犬と猫の脱毛について、原因となる病気を例示するとともに、診断方法や治療法に関しても簡単にご紹介します。

原因

脱毛の原因となる病気や異常には、以下のようなものがあります。

ストレス
飼育環境の変化(引っ越した、新しく家族が増えた、近隣で工事が始まった、留守番することが多くなった、など)や運動不足によるストレスが原因で、自分の手足を過剰に舐めてしまい脱毛することがあります。重度になると「舐め壊し」と呼ばれるような皮膚の炎症が起こる可能性もあります。

【関連リンク】
犬が自傷行為をしてしまう理由について|ストレスや病気が主な原因

 

皮膚の感染症
膿皮症、皮膚糸状菌症、ニキビダニ症、疥癬、マラセチアといった皮膚の感染症にかかると、脱毛を引き起こします。脱毛以外にも、かゆみや炎症、フケなどを伴うこともあります。

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犬の膿皮症について
犬と猫の皮膚糸状菌症について|人にも感染する病気
犬と猫のニキビダニ症について|原因や症状、治療方法などを解説!
犬の疥癬について|激しいかゆみの原因はダニかも?
犬と猫のマラセチア皮膚炎について|悪臭を伴って皮膚に強いかゆみを引き起こす

 

ホルモンの病気
甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症といったホルモンの異常によって、左右対称の脱毛が生じる場合があります。

【関連リンク】
犬の甲状腺機能低下症について|脱毛やたるみなど皮膚に症状が現れる

 

アレルギー反応
食物アレルギーやアトピー性皮膚炎といった免疫機能の異常によって、脱毛やかゆみが現れることがあります。

【関連リンク】
犬と猫の食物アレルギーについて|かゆがる、下痢などは食物アレルギーかも?

 

腫瘍
皮膚にできる腫瘍(肥満細胞腫、毛包腫瘍、皮膚組織球腫、脂肪腫など)は、ドーム状に膨れて一部の毛が抜ける場合があります。
皮膚型リンパ腫は初期には皮膚が赤くなるのみで他の皮膚病と見分けがつかないため、なかなか治らない皮膚病は注意が必要です。
また精巣腫瘍では、ホルモンの病気のように左右対称に脱毛が見られることが知られています。

【関連リンク】
皮膚にぽこっとしたしこりがみられる!?|犬の脂肪腫について
場合によっては転移も|犬の肥満細胞腫について

 

その他の原因
その他には毛周期停止(脱毛症X)、淡色被毛脱毛症、黒色被毛毛包形成異常症、天疱瘡、エリテマトーデス、多形紅斑など考えられる皮膚疾患は多数あります。

全身性の病気によって弱ってしまうと、脱毛するケースもあります。また、病気ではなく換毛期や加齢、栄養不足による脱毛も起こりえます。

これらの原因は多岐にわたり、それぞれに適した診断方法と治療が必要です。そのため、脱毛の症状が見られた場合には、適切な検査と治療を受けることが大切です。

 

動物病院を受診すべき脱毛の状態

下記のような症状が認められる場合は病気が隠れている可能性があるため、動物病院を受診しましょう。

・左右対称に脱毛している
・地肌が明確に見えるほど脱毛している
・尻尾の毛が多く抜けている
・皮膚に赤みがある
・強いかゆみがある
・フケが多く出ている
・皮膚がベタついて臭い
・以前よりも息切れをするようになった
・急に太った、あるいは痩せた

 

診断

今回ご紹介したように、脱毛の原因はさまざまなので、広範囲な検査が必要になります。
まずは皮膚の状態を直接目で観察し炎症、かさぶた、脱毛のパターンなど、特定の兆候を見つけられる場合があります。
その後、飼い主様の日常生活におけるさまざまな状況や行動について詳しくお聞きします。

加えて、皮膚検査を実施します。
この検査では、皮膚の細菌検査、真菌検査、細胞診検査などが行われることがあり、これによって脱毛の具体的な原因を特定する手がかりを得られます。

皮膚検査の詳細は別の記事で説明していますので、こちらをご参照ください。

皮膚検査で原因を突き止められない場合は、血液検査、ホルモンの検査、アレルギーの検査、画像検査(レントゲンやエコー)など、全身にわたって確認し、総合的に判断する必要があります。

上記の一般的な検査で原因を特定出来ない場合には、皮膚を一部切り取って検査する皮膚病理検査が診断に役立つことがあります。

 

治療

治療法は原因によって異なります。ストレスの場合は飼育環境の改善をご提案させていただき、皮膚の感染症の場合は抗菌薬や抗真菌薬の投与、ホルモンの病気の場合は甲状腺や副腎に対する治療薬の投与、アレルギーの場合は除去食やアトピー性皮膚炎治療薬の投与、腫瘍の場合は手術や抗がん剤の投与、といった選択肢があります。
ポメラニアン、パピヨン、チワワ、トイプードルなどで多い毛周期停止(脱毛症X)ではサプリメントの投与が発毛に役立つことがあります。

これらの治療法の詳細については、各病気の記事をご参照ください。

皮膚疾患の治療や、皮膚の健康維持に役立つサプリメントとしてダイゴペットクリニックではアンチノールやアルギチャンプをおすすめしています。

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予防法

犬や猫にストレスをかけないような飼育環境を整備することで、ストレスによる脱毛は予防できるでしょう。また皮膚の感染症については、日ごろからブラッシングやシャンプーによって被毛と皮膚を清潔に保つことが重要です。

その他の病気は予防が難しいため、症状が現れたら早めに動物病院を受診し、早期治療に繋げましょう。

【関連リンク】
お家でシャンプーするときのコツと注意点
おうちでおすすめのお手入れ【ブラッシング】

 

まとめ

犬や猫に起こる脱毛は、さまざまな病気のサインであることが多く、外見だけで正確な原因を特定するのは難しいです。
脱毛の背後には、単なる皮膚の問題だけでなく、全身性の病気が潜んでいる可能性もあります。そのため、愛犬や愛猫の脱毛に気付いたら、早めに動物病院で専門的な検査を受けましょう。

 

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※記事作成当時のエビデンスに基づくもので最新のものと異なる可能性があります。